4 沈黙と友達
赤坂達の背の高さを順に並べると赤坂、柏木、氷埼、になる。けどあんまり背は互いに変わらない。三人の平均、167cmです。
食事を終えた赤坂達は、部屋に戻る。
「ああ、食った食った」
「疲れた」
「眠い」
氷埼、赤坂、柏木と続いて部屋に言葉を放つ。小さくも大きくも無い声で。
「よおし。俺、シャワー浴びてくるわ」
「ああ先どうぞ」
先に氷埼がシャワーを浴びる事にした。
今現在、部屋には赤坂と柏木しかいない。
けして広くないこの寮の部屋にベッドが二つあるため凄く狭く感じる。
しかし、柏木には部屋だけが狭いとは感じていない。
二つのベッドの内一つは赤坂、もう一つは柏木が座っている。
二つのベッドはすぐ近くにあるため柏木は緊張感がある。
そのころ赤坂はと言うと、
「(どうしよう。何話せばいいんだ~)」
心につぶやいている、と思った赤坂。残念ながら声に出している。声量的は小、中、大の内、小の小といっていいほど小さく柏木にも聞こえなかったが。
いっぽう、柏木は
「(一体何話せばいいんのよ)」
柏木も赤坂と同じ悩みを抱えていた。
そうして沈黙は続いた。
否、続いてしまった・・・。
「上がったぞ」
「お、おう」
結局、赤坂と柏木はお互い話すこと無く10分沈黙を作ってしまった。
「じゃあ、俺浴びてくるわ」
「ああ、いいぜ」
赤坂は逃げてしまった。
自分が作った沈黙から逃げてしまった。そしてそのなかに柏木を入れてしまった。何て最悪の場作りをしてしまったんだ、と赤坂は自分に言い聞かせる。
「(後で謝ろう)」
ところで、部屋にいた柏木、氷埼はというと、
「そうか、そうか。そんな事があったのか」
「はい、もう緊張してて緊張してて言葉が見つからなくて」
「そうか、まあ気にするな。まだチャンスはある」
「あ、あのなんのチャンスですか」
「恋のチャンス」
氷埼は言う。それを聞いた柏木は顔を赤く染め、
「な、なにが恋ですか。私こ、恋なんかしてませんよ」
と柏木は目を真っ直ぐ氷埼に向ける。全く揺らぐ事の無い目で。
「ああ悪かった、悪かった、ちょっとからかかっただけだって」
「からかわないで下さいよ」
しかし氷埼は分かる。これは否定文であることを。そして、少し残念だった。
「なあ玲奈、お前髪綺麗だよな」
「そうですか」
「ああ、茶髪のロングヘア。良く似合ってるぜ」
「うん。ありがとう」
柏木の顔の表情を見て、
「もしかして俺よりも他の人にいって欲しかったかな」
「いいえ。誰でも褒めてくれるのは嬉しいです」
「(ちょっと外れたか)」
「誰も、誰も私何かに話しかけてくれなかったから」
そうして話していた頃、赤坂はシャワーから戻ってきた。
「上がったぞ。柏木、浴びてこいよ」
「うんありがとう」
そうして今度は部屋に二人の少年が残された。しかし話は無休でしていた。氷埼の通っている学校について話していた時、会話の転機が現れる。
「あのさ赤坂の学校ってどんな場所だった」
わからない、赤坂にはわからないのだ。
「いや、それは言えない。ナイショ事とかじゃなくて、ただ言えない」
「なんだよ。意味わかんねえよ」
「ああ、すまんな」
そうして話している内に柏木がシャワーから戻ってきた。
「浴びてきましたよ」
「そうか。まあ座ってくれ」
「うん」
柏木は氷埼のベッドに座る。
「あ、あのさ柏木」
「なあに赤坂君」
「今さっきはスマン。沈黙作ってスマン。なかなか言葉が出せなくてスマン。どうか許してくれ」
「ああ。いいよいいよそれくらいあんなの慣れてるから」
そこで氷埼が言葉を突っ込む。
「あのさ」
「なあに」
「なんでお前暗いのに慣れてるんだよ。さっきだって何が話かけてくれなかっただよ。お前過去に何があったんだよ」
「いやそ、それは」
「言えよ。言った方が楽だって」
そこで赤坂は
「まあとりあえず話てみればいいよ。隠し事はみんなに言えば、気が楽になるし、僕らだけでも理解者になれば相談できるしさ」
「やめて!」
柏木は叫んだ。
「やめて!私の友だちをそれ以上傷つけないで」
柏木は、人間離れしたようなことを言う。
「何言ってんだ玲奈。何が私の友達だよ」
「柏木玲奈は私の友達。私は玲奈のただ一人の理解者。他にはいらない」
「どうした柏木。お前変だぞ」
赤坂は尋ねる。
柏木はちょっとおかしいと気づいた赤坂はどうにか元に戻そうと考える。
「私は柏木玲奈のもう一つの人格もう一人の柏木。そして私の友達。心の奥に眠っている自分。なぜだか今ここに出てこれた」
「玲奈。お前二重人格だったのか」
そう氷埼は言う。
これが始まりだった。この実験の内容が少し。そして恐ろしさが分かることになる。
そして部屋にいた三人は誰も知らない。柏木の目が黒から赤へと変わったことなど。人格が変わっただけではないと。赤坂と氷埼はまだ知らなかった。
次回予告としては、軽いバトルを入れます。
けどド派手なバトルではないので、期待は少なめに、これから赤坂をメインにバトルを書いていくかもしれません。




