プロローグ
自称「駄文量産型妄想小説家」による、初の恋愛物です。
「分かるわ……私の中には、彼がいるのね……そうでしょう?先生…」
彼女は病室にいた、ひまわりの花が、彼女のベットの横にある棚に飾られていた。それ以外に病室には彩りは無く、ただ、真っ白な病室だった。そのせいか、ひまわりの花はとても鮮やかに飾られていた。
「本当に…不器用だね…最後に花を送ったって、あなたがいなければ………」
彼女は笑っていた。しかし、その瞳からは涙が止まる事はなかった。
「歌恋さん……君の為に彼が…音音君が選んだ事だよ…」
彼女の隣には医師が立っていた。慰める様に医師は話しかける。
「桜田先生…」
桜田先生と呼ばれた医師は、歌恋に近付き手を握った。
「君は…生きていかなければならない…分かるね?」
桜田は歌恋に残酷な事を言っている気がして、やりきれなかったが、これも、彼の希望であった為にそう言うしかなかった。
「……私一人が生きてても音音は帰って来ない……でも、私が生きている事が音音が生きている事になるのね…」
歌恋の声は今にも消えそうな程の声だったが、桜田は驚いた。まさかこんな返事が返って来るとは思いもしなかったし、何より彼女の強い意志を感じたからだ。
「そうだな、君の中には音音君の…」
桜田が大事な話をしている様だが、歌恋は遠くを見つめていた。桜田の声は聞こえていない。歌恋は、音音と出会った日を思い出していた。