第9話:真の勇者とは
魔王との戦いから数日が経ち、正一と仲間たちは一時的に拠点となる村に戻っていた。
村人たちは正一を称え、子どもたちは目を輝かせて話しかける。
「正一おじさん、僕たちの勇者!」
「すごい、昨日の戦いも全部勝っちゃったんでしょ?」
正一は少し照れくさそうに笑った。
「いや、偶然と経験の結果だから…俺は勇者じゃない」
その夜、アルトは正一と焚き火を囲み、真剣な顔で話した。
「正一さん…僕は勇者として呼ばれました。でも、正直、自信がないんです。
戦闘でも正一さんに助けられるばかりで…」
「…そうか」正一は静かに答える。
「でもな、勇者ってのは剣や魔法の強さだけじゃない。仲間を守る力、知恵、経験…それも立派な力だ」
アルトは目を見開く。
「じゃあ、僕が勇者じゃないんじゃなくて、正一さんも勇者なんですね…?」
正一は少し笑いながら首を振った。
「俺は普通のおっさんだ。ただ、みんなが必要としてくれるなら、力を出すだけさ」
エルナも加わり、焚き火の光に照らされた三人は言葉を交わす。
「つまり、勇者は称号じゃなくて、誰かを守る気持ちなんですね」
「そういうことだ」正一は杖を肩にかけ、焚き火の炎を見つめた。
遠くの魔王城では、魔王が怒りと戸惑いの入り混じった表情を浮かべていた。
「ふふふ…奴ら、単なる若者とおっさんではない。真の勇者とは何か、味わわせてもらおうか…」
翌朝、正一とアルト、エルナは再び魔王城へ向けて歩き出した。
「行こう、俺たちのやり方でな」
アルトは力強く頷き、正一の背後に立つ。
「はい、正一さん!」
こうして、勇者の意味を再定義しながら、異世界最強コンビは魔王討伐の最終局面へと向かっていく――
笑いと成長、そして無自覚無双の旅路は、いよいよクライマックスを迎えようとしていた。




