表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/10

第1話:おっさん、異世界召喚される


佐藤正一は、定年退職の日の午後、居間のソファでぐったりと体を沈めていた。


「ふぅ…これでやっと、自由だな」


机の上には家族からの退職祝いの酒が置かれている。


小瓶のラベルには「これからの人生に乾杯」と書かれていた。


正一は軽く口をつけ、うとうとと眠りに落ちた。


気づくと、辺りは眩い光に包まれていた。


「…ん?」


正一が目を開けると、見知らぬ空間に立っていた。


足元には草が生い茂り、空には二つの太陽が輝いている。


「ここ…どこだ?」


突然、目の前に少女がひょっこり現れた。


「そ、その…勇者…ではなく……あなた、ですよね?」


少女は慌てて手を振りながら言った。


「はぁ?俺が勇者?いやいや、俺は普通のサラリーマン、いや定年退職したおっさんだ!」


正一は混乱した。


「間違いなく俺は戦闘経験ゼロだぞ!」


少女は深呼吸して説明を始める。


「魔王が現れて、この世界を脅かしているんです!勇者として、討伐に…」


「ちょ、ちょっと待て、俺は勇者じゃないって!」


正一は必死に抵抗するが、異世界の空気は重く、逃げられる雰囲気ではなかった。


と、その時、遠くの森の中から魔物の唸り声が聞こえた。


「…え、なんでここに…?」


正一が半ば本能で体を動かすと、魔物が次々に姿を現す。


「いやいや、無理無理!逃げるぞ!」


しかし、何故か正一の体は軽やかに動き、判断は冴えわたる。


木の陰に身を隠し、転がる石で魔物をひっかける――


そして、偶然の連続で、魔物たちはあっという間に倒れてしまった。


「う、嘘だろ…俺、勝っちゃった…?」


正一は自分の手元に倒れた魔物を見つめ、信じられない顔をした。


一方で、少女は目を見開いて歓声をあげた。


「す、すごい!勇者より強いかもしれません!」


正一は頭を抱えた。


「違うんだ、俺は勇者じゃない…普通のおっさんだ…」


だが、その背後に魔王の影がちらりと映る。


「フフフ…面白い存在が現れたようだな」


こうして、60歳のおっさんの異世界冒険――奇妙で笑える無双伝説――は静かに幕を開けたのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ