冒険--時空旅行者
この物語に出てくる、国または公共団体は現実世界のものとは一切関係ございません。ただし、フィクションとは限りませんよ。※必ずお読みください 著者、空色スープはどうしようもなく間が抜けています。なんと今回は連載小説と、短編小説の設定を逆にしてしまい、こちらの小説は短編小説の設定になっておりますので、連載小説の方をご覧になられますようお願い申し上げます。ご迷惑をおかけしまして申しわけございません。(なお、削除しないのは「小説家になろう」管理人様より、削除は控えるようにとのお達しがあるためです)
第一章 原子力発電所爆発
「のっぺー、答え見せろよー」
「自分で考えろ! あ、いや、オッケー教えたる」
「サンキュー」
「1の問題は9、2は3、7の(1)は¦¦¦」
テストの時間に、先生がちょっとでも廊下に出るといつもこうなのだ。
それにしても、聞いてくる奴らもぜんぜん気づかない。僕は全くのうそを教えているのに、先生がテストを返してくれる日には必ず忘れている。そんな時、僕は必死で笑いをこらす。
のっぺというのは僕のあだ名だ。虫歯ができてしまい、顔の表情を変えると痛いのでずっと同じ表情をしていたら、隣の林が「のっぺら坊」と言い出したのだ。そんなことはもう何ヶ月も前なのに、いまだにみんながこのあだ名を使っている。
いや、そんなことはどうでもいい。早く校庭に行きたい。前の休み時間に作りかけていた秘密基地があるんだ。その秘密基地というのは、ぜんぜん秘密じゃない。クラスのほとんどが一緒に作っていて、その中心にいるのが僕と穴田くんとしょうみだ。秘密基地は、学校の木の上にあって、木の上にドングリとか磁石とといったがらくたが入った缶がおいてある。その缶には秘密基地会員だけが使える遊び道具も入っている。問題はどうやって木の上に上るかだった。校庭にはタイアがいっぱいあったので、それを無理して積み重ねたがそのタイアをよじ登れるのはほんの少数でほとんどが上れなかった。だから、今改造中ということなのだ。
後3分だ。2分…1分
「気をつけー礼! ありがとうございました」
ダダダダダダダダダダダダダダ
みんな一目散に走っていく。僕は穴田くんとしょうみを待った。
「あのタイアどうしよか」
と穴田くんが難しい顔をして言った。
僕は少し考えて
「階段みたいにしたら?半分ピラミッドみたいに積み重ねて」
「うーん。いいかも知れんけど、めっちゃタイア要るで」
としょうみ
「それか、タイアを木に立てかけて、立てかけたタイアを地面に平行に置いたタイアで支えたら、ちょっとは少なくなるんちゃうか?」
図書室の手前にある階段の前に来たときしょうみが提案した。
「場所とらへん奴がええなあ。いちおう秘密基地なんやで」
「そうやな」
階段を下りながらと僕としょうみが同時に言った。
「とにかく、現場見に行かんとどんくらいタイアあんのかさえ分からへんやろ」と僕がいった。
校庭に出ると、ちびっ子がドッジボールや探偵(鬼ごっこのようなもの)などをしていた。一人一人が走り回るので保健室の前にある白いコンクリートの道をそそくさと通って、校庭の端のほうにある森、とよばれる特に木のたくさん生えたところを目指して歩いた。
「でもな、みんな知ってる秘密基地なんか面白くない気がするけどなあ」
と穴田くんが3人だけに聞こえるような声でつぶやいた。
「まあな。どっか見つからんところ探す?」
「そうしよそうしよ」
しょうみはすぐ調子にのる。
「よーし。じゃあ、一人ずつわかれて場所探そ。で、休み時間はあと十分くらいやから、五十五分になったら、今の秘密基地のところに集合な」と僕が言った。
「オッケー、じゃあしょうみそっち行って、僕はあっちにいく。奥村くんはあの辺やな」
と穴田くんが指揮をとった。
まず僕は鉄棒の後ろにあるツツジの花が咲く茂みの裏に行った。
ここは、妨球ネットがあって、その間にあるから鬼ごっこではまず入らない。でも、秘密基地にするにはすこし小さすぎた。それに、よく猫が糞をしにくる。
ツツジの茂みを抜けて、今度はうんていの後ろのフジが巻きついている日陰宿に行った。日陰宿は意外に人気がある。だから、また裏のほうに行って探索した。日陰宿の裏は、もう学校の境界の塀がある。塀はコンクリートで出来ているので、冬でも暖かい日にはカイロ代わりになる。しかも日照りがよく、比較的広い。タイアで隠せば見つかる心配もほとんどない。
ふと学校の校舎の一番上にある大きな時計を見ると、もう五十六分になっていた。僕は急いで、今の秘密基地に戻った。
しょうみはまだいない。ぬかるんだ地面の上をベタベタ言わせながら、穴田くんの横に立った。
「どうやった?」と穴田くんが聞いてきた。
「まあいいところは見つけたで。穴田くんは?」
「僕も。ただ春は使われへんで」
「なんで」
「毛虫の卵がいっぱいついてたもん」
「うわ。そう言うってことは木の秘密基地の場所やねんな?」
「よくわかったな。 そうや!面白いこと考えた!」
「しょうみが来たらいくつか質問をして、しょうみが見つけてきた場所をあてるっていうのはどう?」
「面白そうやな」
僕は学校で一番高い鉄棒にジャンプをしてぶら下がった。
五十九分になってもしょうみは来なかった。
「なんかあったんかなぁ」と僕は話しかけた。
「わからんけど、もうそろそろ教室に戻らんと、給食食べられへんようなんで」
僕と穴田くんは砂煙のなかを始めはゆっくり、徐々に早足になって、チャイムが鳴ったころには、廊下を全速力で走っていた。給食が始まってちょっとしたころ、しょうみが痛そうな大きな絆創膏をひざにつけて帰ってきた。
「原渕、どうしたんや」と先生が聞いた。
「いやー、校庭を走ってたら、鬼ごっこをしているグループに引っかかっちゃって…」
「それでそんな怪我したんか。大丈夫か」
「大丈夫です」
そういってしょうみは椅子にどっこいしょと腰を下ろした。
僕としょうみは同じ班だったのでしょうみに、
「ほんまに大丈夫か?大縄の練習って一体どんな練習してたんや?」とすこし笑って訊いた。
「実はな…」としょうみは声を落として身を乗りだし言った。
しょうみの話によると、危ないから休み時間中は禁止されているひも遊びを、一年生たちがやっていたそうだ。しょうみはそうとは気付かず通ったところ、見事転倒して怪我をしたそうだ。保健室では理由を聞かれるのだが、優しいしょうみは黙ってあげたそうだ。
「優しいなあ」と僕は言った。
その後の休み時間、穴田くんとしょうみと僕で、こっそり理科室から貰ってきたろうそくをみんなが一番よく走る図書室前の階段の踊り場に塗って、みんなが転ぶのを見て楽しんだ。先生も転んだ。でも、「先生は僕たちをしかれない。」と穴田くんは断言する。
「走るのがあかんのや。僕らは安全委員会やもん」
そう、この学校で3人とも安全委員会に入って、わざと危険を作り出しているのだ。
なんやかんやでやっと授業が終わり、疲れた下校¦¦のように思われるだろうが、ぜんぜん疲れていない。むしろ大元気だった。ひとつ残念なのは、しょうみと穴田君・僕の帰り道が違うことだ。
帰り道は穴田くんと帰宅後の遊びの計画を立てる。
「今日は箱庭にまず行って、それから竹やぶにバンブーを取りに行くか?」
と僕が草むらを横目に見ながら穴田くんにいった。
「そうやな。あーでも、バンブー取りにいくんやったらもっと時間いるやろ?だから今日は缶ビンペットボトルの廃品回収日やから、使える奴を探して、蓄える日にしよ」
「賛成。余った時間はこの前の廃品回収で出たパソコンを分解しよっか」
「オッケー、じゃ、また後でなー」
僕たちは同じマンションに住んでいるが、棟が違うため、いつも手前でわかれる。
そして僕たちの遊びは、ほかの子供たちとはすこし違う。僕たちの場合は自然の中で収集したり、物を作ったりして遊ぶ。
たとえば箱庭は、よく老人がやるような盆栽を改造して発泡スチロールの中で作るビオトープのようなものだ。ほかにも廃品回収で出たごみの中で遊べそうなものはとっておいて、いろいろなものを作っていく。僕たち3人はこんな遊び方を誇りに思っている。
「ただいまー」と言って僕はすぐに着替え、おやつを探す。おやつを食べた後すぐに穴田くんの家に行く。
いつものように、箱庭がある駐車場跡まで行って、箱庭をいじっていた。
ふいに穴田くんがこんなことを言い出した。
「なんか、キナくさくない?」
キナが何なのか分からないが、確かに不穏な空気を感じる。
「確かに……なんか目も痛くなってきた。チカチカする」遅れてきたしょうみが息を切らしながら言った。
まさにそのとき、雷の数千倍するのではないかというくらいの爆音がし、目の前が真っ白になった。
衝撃波か何かで、僕は吹っ飛び、後ろにあった「貸し土地」の看板に激突した。
僕はのどが渇き、死に物狂いで水のあった川の方に進もうとしたが、心臓が悲鳴を上げていた。胸が苦しく、今度は空に持ち上げられるように、地面が遠ざかっていった。
「これが、死ぬってことなのか……」薄れ行く意識の中で僕はそう思った。
著者、空色スープはどうしようもなく間が抜けています。なんと今回は連載小説と、短編小説の設定を逆にしてしまい、こちらの小説は短編小説の設定になっておりますので、連載小説の方をご覧になられますようお願い申し上げます。ご迷惑をおかけしまして申しわけございません。(なお、削除しないのは「小説家になろう」管理人様より、削除は控えるようにとのお達しがあるためです)