君が頼り
テールが指揮していた部隊から被害が出た事に対し、オリビン卿は指摘するものの、その後テールの判断により部隊の壊滅が免れた事を称賛し、テールはとても感激しており、強い決意を言葉にする。
演習中止という不本意な形で終わったものの、新たな魔物の仲間を得た僕達は屋敷に戻る事とした。
「あ、ニック様、テール様、お疲れ様っス」
「オリビア、コール、早速だけどもう僕達はテリナンの屋敷に帰る事にしたから、帰る準備をしよう」
「分かりました、姉上、帰りの準備をしましょう」
「はい、それじゃあニック様、兵達と共に帰りの準備をしてまいりますので、できたらお呼びします」
そう言って、オリビアとコールは兵士と共に帰る準備を行い、僕とテール、それからホップン、ショウも待つ事とした。
「ショウ、これから君も僕の屋敷で暮らすことになるから、帰ったらみんなに紹介するね」
「ガーーー」
「あのニック様、本当にお手を煩わせて申し訳ありませんでした」
「テール、その事はもう終わった話だよ、君自身も強く精進するって言ったじゃないか」
オリビン卿と話した事でやはり自分の失態をまた少し意識しなくてはいけなくなり、申し訳が勝ってこう言ったんだろうけど、終わった話を何度も蒸し返されるのもあまりいい気分がしないな。
「テール、手を煩わせたと言うけど、君は僕の教育係で部下なんだ、見捨てるわけにはいかないだろう」
「考えたらニック様は初陣の時も偶然とはいえモンスターテイムが覚醒して私達を窮地から救ってくれました、ニック様をお守りするはずの私がニック様にこれほどお守りされてるので教育係としても……」
「テール!忘れていないか、刺客が襲って来た時も君は僕を守ってくれたし、護衛騎士認定の為の訓練にも親身に付き合ってくれたじゃないか、何よりテールが教育係だったおかげでいろいろ身に付いたんだよ!」
「ニック様……」
テールはここまで僕の為に力を尽くしてくれた事を僕は忘れていない、そう伝えて、更にこれからどうするかもしっかり伝えなくては。
「テールも今回の事でまた学んでいけばいいと思うよ、そしてテールが身に付けた事を僕に教えてくれれば、それが王国の為になるんじゃないかな」
「ニック様、……ありがとうございます、ニック様はやはり将としての器がありますね」
「え?いや、そう言う話じゃなくてさ……」
「私もまだまだ未熟である事は痛感しましたし、そのうえでよりニック様の教育係として力を尽くし、一部隊の将としてもしっかり指揮ができるよう精進します」
良かった、テールの目がいつもの目に戻っている。まだ僕にとっては君が頼りなんだよ。