戦後の判断
モンスターテイムで手懐けたコカトリスにショウという名前を付けた僕はテールと共にオリビン卿に帰還の挨拶をするが、今回の統制された魔物の介入に対して言及する。
「ニック様、統制された魔物がこれほど多く我らの領内で現れるとなるとプールかダイダイが前々から準備を行っており、我らを内部崩壊させるのが狙いのように私は思えます」
「確かにね、現状決定的な証拠がないからプールもダイダイも素知らぬ顔を通せるしね」
プールとダイダイ、この2つの国とは商圏での衝突、仲介による戦闘停止要請などで反感をかわれてはいるが、定期的に互いに使者を送って祝い事の挨拶をしたり、またそれに伴う贈り物等の送り合いをしている事から、少なくとも現状は国家間の交流は保たれている。だからボートルト王国としても決定的な証拠がない以上、強く出れず交渉の場などで軽く触れるのが精一杯なのだ。
「もちろん我らとしてもプールやダイダイとの戦争を望んでいるわけではありません、ですがこちらの態度次第ではそれを口実に宣戦布告をするおそれはありますからな」
「そうか、どうにかむこうの様子を探る事ができればいいんだけどな」
「陛下は間者も送っているようですが、それらの話はガリアス様、ひいてはニック様のほうにお話が行くでしょう」
間者か、どれほどの情報が得られるかは分からないけど、何か掴んでくれるといいな。
「オリビン卿、こたびの件は父にも報告しておくし、そのうえで判断を仰いでみるよ」
「お願いします、ニック様」
「演習がこんな事になってしまって残念だけど仕方がない、僕はもう帰る事とするよ」
「そうですな、それがよろしいかと」
このままでは現状手詰まりだし、何か打開策を見出さないとな。とりあえず帰って父に報告だ。
「テール、お前もニック様と共に戻れ、ニック様の教育係と護衛を続けろ」
「はっ!」
「テール、我らの想像を越える事態が起こったとはいえ、対処を誤り部隊に被害を出したのだ、それを忘れるでないぞ」
「はい、もちろんにございます」
「だが、その後部隊の被害を抑えながらニック様の救援を待ち、事態の打開のきっかけをつくり最悪の事態を免れた点は称賛に値しようぞ」
オリビン卿、指揮が上手くいかなかったテールにずっと塩対応だったような気がしたけど、しっかりとテールが部隊の壊滅を免れた事は褒めてあげるんだな。
「もったいなきお言葉、今のテールには身に余るお言葉です」
「ならばニック様をしっかりと導きお守りせよ、今のお前の役目であろう」
「はっ!」
さあ、そろそろオリビアやコール達も連れて屋敷に戻ろう。




