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救われた判断

 テールの部隊から死傷者が出て遺体をオリビン卿の部隊が運び、僕達は残されたケガ人の治療を行う事にした。重傷者をオリビアの治癒魔法で行い、軽傷者は動ける者達で手当てを行う事にした。


「オリビア、もし魔力が尽きたら言って、その時は僕が治癒魔法を使うから」

「ありがとうございますニック様、ですが治療で魔力が尽きる心配はないかと思います」

「姉上の魔力量は母上譲りですからね」


 オリビアとコールのお母さんは魔法が得意だったのか、いずれ会う事もあるだろうけど、今はケガ人の治療だな。


 それにしてもホップンの時もそうだったけど、最初はなかなか離れないんだよな。とりあえず治療が終わったらこのコカトリスにも名前を付けてあげないとな。


 僕達は手分けしてケガ人の治療を行っていった。重傷者をオリビアが1人づつしっかりと魔法で治療してくれるから助かるな。


「はい、これで大丈夫よ、傷は浅かったけどあまり無理しないでね」

「申し訳ありません、テール様のお手を煩わせる事になってしまって」

「ううん、あなた達がケガをしたり死者まで出したのは私の指揮が不甲斐なかったからよ、ニック様がいらしていなければどうなっていたか……」


 テールは今回の事ですごく責任を感じているな。この部隊を任されていたし、お父さんの出した言うなれば課題のようなものをクリアできなかったのと、自分の為に死んだ人までいたから無理もない。声をかけようとしたらその前にコールがテールに対して言葉を発していた。


「だけど、テール様、あそこでオリビン卿の部隊よりニック様の救援を優先して要請したのはいい判断だったと思いますよ」

「コール……」

「オリビン卿の部隊と合流すれば戦闘は勝てたかもしれないけど、それに伴う被害も大きかったでしょうし、ニック様のモンスターテイムを信じたテール様のおかげで救われた兵もいるって事っすよ」


 モンスターテイムが上手くいったのは僕は結果にすぎないと思っているが、こう言う事で少しでもテールが救われるならと思い、僕はあえて口に出さなかったが、テールに治療してもらった兵がコールに追随するように話す。


「コール様のおっしゃる通りです、テール様のご判断が我らを救ったのです!」

「ありがとう、今日死んだ兵やあなた達の為にももっと立派な将として精進するわ!」


 テールがそう発すると僕に声をかけてくる。


「ニック様、教育係として手本を見せなければならない私がお恥ずかしい姿をお見せしました。ですが少しでもニック様の糧になるならばこの恥辱も甘んじて受けます」


 テール、君のそういった姿勢が僕にとって最良の教育だよ。これからも部下としては引っ張るし、教育係としてもっかりいろいろ見習わせてもらうよ。

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