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進軍しながら

 いよいよオリビン卿指揮のもと軍事演習が始まる。少しづつ兵は動き始め、オリビン卿やその周りの兵、そして僕達も動き出す。テールの部隊もすでに動いているだろうけど進軍ルートが違う為、僕達の居るところからは様子は確認できない。


 あとは無事であることを祈るしかない。おっと、もちろんオリビン卿の指揮を学ぶ事も忘れちゃだめだ。


 現在の進軍速度は特段速くもなく、遅くもない速度だ。実戦と同じように斥候も放っているが、今の所変わった報告はないな。


「ニック様、我らオリビンの兵の進軍速度についての感想はいかがですか?」

「ん?ああ、そうだね特段速くもなく遅くもなくって感じだね」

「拠点制圧、味方の救援等、明白な目的がある場合は兵の進軍速度は速いに越した事はございませんが、やみくもに速度を上げると兵は疲弊しまともな戦闘が行えませんからな」

「うん、兵は神速を尊ぶともいうけど、許容できる範囲もあるものね」


 僕の発した言葉を聞いてオリビン卿が感嘆し、それについての感想を述べる。


「なるほど、確かに兵は神速を好みますからな、早く目的を果たしたく血気に盛んになる者が多いですからな。さすがはニック様、兵の心情を端的に表すとは」

「ん?あ、ああそ、そうだね……」


 あっちゃーーー、これって中国の故事をそのまま言っちゃったんだよな、そうだ、ここは異世界だし僕がいた世界の中国の故事があるわけがないよね。うかつだったな。


 とりあえず僕は自分の言葉だけど軽く流してそのまま進軍を続ける。そしてオリビン卿は兵に呼びかける。


「皆の者、一時休息とする。陣を張り、食事の準備を致せ!」

「はっ!」


 オリビン卿はこの地点を休憩の場として兵に陣と食事の準備を命じる。


「ニック様しばしお待ち下され、陣が完成し、食事ができましたらニック様にも召し上がっていただきます」

「ありがとう、ここを休憩の場にした理由って聞いてもいいかな?」

「もちろんにございます、斥候の情報によると魔物や野盗のようなならず者の存在はなく、安全に休息ができると判断してにございます」

「ここは自領だから比較的安全に休息が取れると思うけど、敵地でお腹が空いた場合とかはどうするの?」


 僕が抱いた素直な疑問だ、敵地を進軍中も当然お腹が空く、その際の休憩の取り方とかも聞いておいた方がいいな。


「敵地はなかなか気が抜けませんからな、拠点を奪いそこを休息地点にするのが安全でしょうな」


 こうやって僕は進軍の合間にいろいろと教えてもらった。

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