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見送り

 テールよりオリビン家の軍事演習に参加して欲しいとの要請を受けた僕はミアに他の使用人と一緒に僕の出発準備をするよう伝えて、僕はオリビア、コール、それぞれに明日に出発する事になった事を伝えると自室に戻り、最低限の準備を済ませて寝床につこうとしていた。


「ホップン、明日はオリビン家、テールの実家に行くから早くおやすみ」

「キュン!」


 僕とホップンは明日の出発に備え就寝するとそのまま朝を迎える。


 そして翌朝、朝食を終え用意された移動用の馬に乗ろうとすると、母や妹のファル、そしてミアも僕達の見送りに来てくれた。


「ニック、出発と聞いたから見送りに来たわ」

「ありがとうございます、父上は?」

「昨日、演習の事は話したからって、朝から仕事をしているわ」

「そうですか」


 父にとってもこの演習は僕が立派な領主になる為の勉強の一環と考えているからか、あえて見送りの必要はないと判断し、自分の仕事に慢心しているんだな。それが領主の務めだし、僕の事も子ども扱いしないという意思の表れだな。


「兄上、気をつけてください、ホップン、みんな兄上の事をしっかり守ってあげてね」

「キュン!」

「ファル様、ニック様は演習の見学をするだけですし、危険は少ないと思いますよ」

「まあ、何かあっても俺がいるんで心配はいらないっスよファル様」


 コールが自信満々に僕を守る事を宣言するとそれに対してホップンが抗議をした。


「キュン!キュン!」

「ああ、そうだなお前もいたもんな、悪い悪い」

「キューーーーン!」

「ねえやっぱり、まだホップンとコール本当は仲悪いの?」


 ファルがやっぱりまだホップンとコールは仲が悪いのかと心配するとその部分をミアがフォローしてくれた。


「ファル様、ホップンはコール様に自分もニック様をお守りする事を強く強調しているんですよ」

「協調?」

「ええっと、みんなで協力してニック様を守ろうよってコール様に呼びかけているんですよ、仲が悪かったらそうは呼びかけませんよ」

「うん、でもすごいねミアはホップンの言っている事が分かるなんて」


 概ねミアの言った通りの事を確かにホップンは言っていたけど、ミアはホップンの叫び具合から読み取っただけなんだけどな。


 いやそれでもここまで分かるなんてすごいんだけどね。


「ファル様、ファル様もホップンをしっかり見ていれば分かると思いますよ」

「本当!よーーし、うーーーーん……」

「キュン?」

「あーーーー分かったよ!ホップンお腹空いているんでしょう?」

「それはファル様なのでは?朝食もお召し上がりにならずお見送りに来られましたから」

「へへへ、そうでした」


 まったくファルは……、まあホップンと仲良くしてくれたのは嬉しいけどね。

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