部屋に戻って
カール騎士団長はどうやら僕達の訓練を見ていたようでその際にテール達の器量もしっかりと見抜いており、僕達が登城した際は王女殿下を安心して任せられると言い、その場をあとにしようとした。
「それでは、私も任に戻らなくてはならない、またお会いしよう」
「ええ、それじゃあまた」
カール団長はそう言って王女殿下の元に戻り、僕達も部屋に戻ろうとするが、その際に父が僕に声をかけた。
「ニック、私はこれから陛下とお話があるから、先に戻っていろ」
「はい、分かりました、みんな、父上がお戻りになるまで僕の部屋に来てもらっていいかな?今回の事で少しでも話したいし」
「私は構いませんが、オリビアとコールはどうするの?」
テールは僕の申し出に了承してくれ、更にオリビアとコールに僕の部屋に行くかどうかを尋ねていた。
「もちろん、ニック様がそのように仰せならば参ります」
「それじゃあ俺も行きますよ」
「ありがとうみんな、それじゃあ行こうか」
僕はテール達を僕と父が泊まっている部屋に呼び、みんなに椅子に座ってもらってから、僕は口を開いた。
「みんな、まずはありがとう!今回の立ち合いに際して鍛え直してくれた事、それから王女殿下の護衛に加わってくれた事」
「なにをおっしゃいますか、それはニック様が普段より研鑽した結果です、我らはちょっとした助言と実戦形式の訓練に付き合ったに過ぎません」
「そうっスよ、王女殿下の護衛にしてもニック様お1人とホップンだけがつくのは危険性が高いですし、ニック様だけじゃああの王女殿下をお相手するのは大変そうですからね」
「ああ、ははは、実はそれもあって、みんなにお願いしたんだ、だからこそのお礼というか……」
「しかし王女殿下はかなりニック様を護衛騎士として推薦していましたね、無論陛下の意向もお強いとは思いますが」
テールの発言を受けてオリビアが言葉を発した。
「あの、私ちょっとお耳にした事があるんですけどよろしいですか?」
「何かなオリビア?」
「ニック様ご本人に対して申し上げにくいのですが、もしや陛下も王女殿下もニック様を花婿としてお考えなのではと」
「ぼ、僕が王女殿下の花婿⁉」
「お待ちを、護衛騎士は確か王女殿下をお守りするだけでなく、花婿になりうるお方を厳選する目的もあるのではないかと私もお聞きした事があります」
「確か、王女殿下は1人娘ですし、ありえますよね」
まさか、僕が王女殿下の花婿候補に考えられていたなんて、でも僕はテリナン家の嫡子だし、それはないはずだよね?




