解散すると
カール騎士団長との立ち合いはお互いの武器が破壊された事で引き分けという判定となり、カール騎士団長も僕の器量を認め、護衛騎士として認めてくれた。
しかし、城に常駐しない僕を通常の指揮系統に組み込むのは難しく、僕は陛下により特別護衛騎士として位置づけられた。僕の権限と責任においてフレア王女殿下を守ることになるので、僕はテール達も護衛に加えてよいことを陛下と王女殿下から許可を頂き、どうにか今回の件は幕を閉じた。
「フレアがそう申すならば、ニックの従者もフレアをしっかりと守ってもらうよう、力を尽くしてもらうぞ」
「はっ!我が主の命に置いて、王女殿下をお守りする所存にございます!」
「うむ、さて明日にはガリアス達は領地に帰還するであろうし、今日はゆっくり休んでおくがよい!皆の者、これにて下がってよいぞ!」
「はっ!」
陛下の呼びかけで僕達はこの場を解散する事になり、部屋に戻ろうとするが、その際にフレア王女殿下が声をかけてきた。
「ニック、ニックならばカールにもお力を見せて認められると私信じておりました」
「はっ!ありがたきお言葉、恐悦至極にございます!」
「もう、私にはそこまでかしこまらなくともよいと言ってますのに」
「そうはおっしゃられても、それに我らは特別な形とはいえ王女殿下にお仕えする身、礼を尽くすのは当然にございます」
王女殿下はかしこまらなくてもいいと言ってはいるが、僕ももうこの世界の礼儀を13年間叩き込まれているから、そこは守らないとと思っている。っていうかむしろこの人が身分の高さとは真逆でフレンドリーな感じがするんだよな。
「お仕えする身……まあ良いです。また登城した際にはよろしくお願いします」
「はっ!」
「それじゃあ、カール、皆様参りましょうか」
「はっ!」
護衛騎士達が王女殿下に伴う中、カール騎士団長は王女殿下に声をかけてから僕に近づいてきた。
「ニック殿、見事な戦いぶりであった、あなた方にならば安心して王女殿下のお守りを任せられる、その分我らは外敵に備えより剣技、そして実戦の動きも熟知しなければな」
「おそれながら申し上げます、我が主ニックは器量よしですが、我らはさして……」
次の瞬間、僕に対してカール団長は僕達にだけ聞こえるよう声量を落とした。
「あなた方が訓練でニック殿をここまで鍛え上げたのであろう、私が気付かないとでもお思いか」
この人、密かに僕達の特訓を見ていたのか、ああ、だからこそ最初から本気で臨んだんだな。




