特別護衛騎士
最後の賭けでお互いの木剣が破壊されると陛下は引き分けと判定をくだし、それによりカール騎士団長は僕の護衛騎士入りを認めてくれた。
「では本立ち合いの結果及び内容を考慮した結果、ニック・テリナンは我が子フレアの護衛騎士としてふさわしいと判断し、護衛騎士入りを我が名において任ずる事とした」
「はっ!身に余る光栄、恐悦至極に存じます」
「うむ、頼むぞニック」
略式ではあるが陛下に正式にフレア王女殿下の護衛騎士として任じられ、僕もこれから正式に護衛騎士としての任に着くが、それは登城したときだけであるし、実際にどういう立ち位置で任務を遂行すれば良いのかなと考えているとカール騎士団長が陛下に声をかけた。
「陛下、ニック殿が護衛騎士の任に着くのは登城されたときのみで、それも王女殿下のお側でお供の魔物と共にお守りするとお考えでしたよね?」
「うむ、城に常駐ができなければそれが最良かと考えてな」
「そうするとニック殿は護衛騎士団の通常の指揮系統に組むのは難しいですし、正直申せば私も公爵家嫡男であるお方を指揮するのはいささか抵抗があります」
「そうだな、ニック、主は護衛騎士であるが特別護衛騎士としての独自権限を与える」
ちょっと待って、また新たな単語が出てきたんだけど、それって何?
「ニック、この城に登城した際には主はフレアの特別護衛騎士としてフレアの側に着きフレアを守る事を任とする。その際の権限を一任する事とする」
「それはつまり私の権限、そして責任において王女殿下をお守りせよとお仰せにございますか?」
「そうだ、だが護衛騎士の者には主も当然指揮権限はないから、主のやり方に任せる形になるがな」
「それでは、我が権限で従者の者達も護衛に加えて良いという事にございますね?」
特別護衛騎士、話を聞く限りカール団長の指揮下にはないが、僕自身にも判断、そして責任が問われるから護衛方法には僕にできる最良を尽くしたいな。
「主の従者も護衛に加えるとな」
「はっ!彼らは我ら親子の登城の際に共として参ってくれるのですが、私が護衛騎士となれば彼らをただ遊ばせるだけになりもったいないと思っておりましたので、護衛に着かせたいと考えたのですがいかがでしょうか?」
「フレアよ、どう思う?」
「ニックがそう申すなら、私も構いません、お願いしますねニック」
「はい、お任せください」
特別護衛騎士、一定の権限と責任が伴うなら、王女殿下を守る為の最良はテール、オリビア、コールも一緒に守ってくれれば僕としても助かるし、これで任も全うできそうだな。