立ち合い開始
立ち合いの朝に指定された訓練所に向かうとそこには陛下、王女殿下、護衛騎士団の面々がいて、その場で少し話すとカール騎士団長は立ち合いをするのは王女殿下を守る力が僕にあるかを見極めるつもりであると改めて強調した。
「カールの申す通りだ、それはお前も納得したはずであろう」
「それは父上もカールも強くおっしゃるからです、だからニックならばそれを乗り越えると信じるしかないと思ったのです」
「ならば最後まで信じてみせよ、さあ、参るぞ皆の者」
「はっ!」
陛下のお言葉に応じ、僕達は訓練所へと入っていった、僕とカール騎士団長は石のリングまで移動し、他の人達はリングの外から僕達を見守っていった。
僕の後ろ側に父とテール達がいて、カール騎士団長の後ろ側には護衛騎士団のメンバーがいて、それぞれが応援の言葉を僕達にかける。
「ニック様、ご武運をお祈りしております!」
「ニック様、ニック様なら勝てると期待してますよ!」
「団長、我らの誇りを見せてください」
「公爵家嫡男と言えど遠慮はいりません、団長の本気をぶつけましょう!」
お互いの陣営が応援の言葉をかける中、ここで陛下が立ち合い開始の宣言を始める。
「それではこれよりニック・テリナン、ならびにカール・コマヌの剣技での立ち合いを開始する。双方前に!」
僕達が前に移動すると陛下は僕達にそれぞれ誓いを尋ねる。
「この立ち合いはボートルト王国国王マーズの名において行う。貴君らに問う。貴君らは我が名及び騎士道精神においてこの立ち合いを正々堂々戦う事を誓うか?」
「我、マーズ陛下並びに騎士道精神において正々堂々戦う事をここに誓わんとす」
「我、マーズ陛下並びに騎士道精神において正々堂々戦う事をここに誓わんとす」
「うむ、それでは始め!」
いよいよ僕とカール騎士団長の立ち合いが始まった。カール騎士団長の動きに備え、僕は早めに木剣を構えるがカール団長は剣を構えるだけで動きが見られない、いや違う!彼の構えには隙が無い、そしてすぐに攻撃を仕掛けないのはこちらの隙を伺っているのか。
「テール様、あの団長……」
「ええ、やっぱりとんでもない達人ね、あれではニック様も簡単に仕掛けられない」
「だけどニック様も団長の動きを見て即座に手を出さない方がいいと判断してるっス、簡単には負けないですよ」
「キュン……」
「ホップン……、安心しろニック様は強いからよ」
隙のない構えを見せるカール団長、だがこっちも簡単に隙を見せるつもりはないし、どうにかして隙を作ってやる。




