立会いの朝
いよいよ立ち合いの朝を迎えた。僕は身支度を整え、息を整えるとホップンが僕の足元にすり寄って来た。
「キューン」
「ホップン、ごめんねこの頃稽古ばかりであまり構ってあげなくて、だけど今日の立ち合いが終わればまた過ごす時間も増やせると思うから」
「キュン!キュン!」
「気にしなくていいだって、ありがとう気を遣ってくれて」
ホップンが気にしなくていいって言ってくれて、ホップンも少しは成長してというより僕達の生活にもなじんできたんだなと感じたな。まあこの子は賢い子のようだから、その辺りは理解が早いよな。
「緊張していそうだなニック」
「父上、はい、この立ち合いで護衛騎士になれるかどうかが決まりますからね」
「お前の相手となるカール騎士団長はかなりの実力者だが、スキルを活用したとはいえ、お前も初陣を乗り切った戦場経験者なのだ、恐れる必要はない」
「ありがたきお言葉感謝します父上、私は今私が持てる力を全て出し切るつもりでこの立ち合い臨みます」
父の言葉でハッとしたな、そうだ僕は本物の戦場を生き残ったんだ。フレア王女殿下をお守りするのは確かに重要な任務だ、軽く見るつもりはない。だけど僕達公爵家やテール達のような従者は人間、魔物を含む外敵からこの国を守る為に戦っているんだ、だから必要以上にカール騎士団長に気圧される理由なんてないんだ。
そう考えていると、扉をノックする音が聞こえ、僕が開けるとそこにはテール達がいた。
「ニック様、そろそろ参りましょう」
「ああ、それじゃあみんな行こうか」
父も僕の立ち合いを見守る為に同行することになり、テール達を伴い、僕は訓練所へと向かう。
最近使っていた訓練所ではなく、いつも護衛騎士団が使用している訓練所で立ち合いを行うと聞いていたので、そこへ向かっており、訓練所に近づくと陛下、王女殿下、そして護衛騎士の面々がおり、まず僕達は陛下の前で膝を地面に着き、父が陛下に対し発言をする。
「陛下、訓練所までお越しいただき感謝いたします、この度は我が子ニックの立ち合いの場を設けていただきなんとお言葉を申しましょうか」
「まあ立ち合い自体はこのカールの提案であるし、余としてもニックの器量はこの目で確認しておきたかったからな」
「父上、フレアは何度もニックならば剣を使わずともフレアの護衛騎士を十分に全うできると申しましたのに」
「ですが王女殿下、登城したときだけとはいえ、王女殿下をお守りする任につくならばこのカール、このお方の力量を見極めなければなりません、我らはそういった部分も含め王女殿下をお守りする義務があるのです」
カール団長もあくまでも王女殿下を守る為に僕の力が不足してないかを見極めたいんだな。分かった、僕の全力を見せるよ。