登場!護衛騎士団
コールが実戦訓練の相手になってくれて1本を取る事はできなかったが、自分としては今までよりずっといい感じになって来たぞ。やっぱりコールの言うように相手に勝つつもりで特訓しないと強くなれないんだな。
その翌日王女殿下は見学に来なかったのでこの間に実戦訓練をしてしまおうと思い、テールが実戦訓練の相手になってくれた。
テールも防御に徹する訓練で僕が1本取れるかどうかという形式の訓練だが、コールの時と同様、いい感じになって来たぞ。
「ハアハア」
「ニック様、一度お休みなさいましょう」
「そうだね、だけどやっぱりテールもコールも強いな」
「ですがニック様、ニック様の動きも良くなっております、今回の実戦訓練だけでなく日頃の研鑽がニック様の技量を高めたと思います」
いくらなんでも今回の特訓だけで急激に強くはなったりしないから、普段よりの稽古が実を結んだと言うのは教育係としてのテールの言葉だ。
「ニック様、休憩が終わったら今度は俺が相手をするっス」
「ああ、頼むよ」
僕とコールが話しているとどこからともなく声が聞こえる。
「ニック・テリナン殿ですよね、申し訳ないがそろそろ我々にもこの訓練所を使わせて欲しいのですが」
「待ってください、いきなり現れて訓練所を使わせてくれとは、あなた方は?」
「我らはフレア王女殿下の護衛騎士だ、王女殿下の客人であるからこの数日間あなた方に明け渡しておったが、そろそろここを我らに使わせていただきたい」
「お待ちください、確かあなた方は別に訓練所があると聞いたので、我々はここを使って良いと陛下や王女殿下より許可をいただいたのですが」
僕が王女殿下の護衛騎士の発言に戸惑っていると、そこに訓練所の管理人が現れ、僕達に声をかけてきた。
「申し訳ありません、ニック様、明日は陛下の前で国の騎士による御前試合がありまして護衛騎士の方々が使われている訓練所をお使いになっているのです、伝え忘れ申し訳ありません」
「困るな、王女殿下は護衛騎士に勧めているようだが、公爵家嫡男であろうお方が入る必要はないであろうに」
「差し出がましいようですが申し上げます、我が主ニック・テリナンはその器量を見込まれたゆえにそのお話があり、またあなた方の騎士団長にその器量を示す為にここで訓練をしているのです」
「器量を見込まれたねえ、だがあなた方の訓練は我らからすれば公爵家嫡男のお遊びの延長にしか見受けられなかった、それで器量と申されても」
まさかの護衛騎士の登場か、トラブルを上手く回避しなければ。