カール騎士団長
フレア王女殿下を迎えに来たのは王女殿下の護衛騎士団の騎士団長でカールという名の男だった。その声を聞いた僕は王女殿下とカール団長の姿が見当たらなくなったのを確認し、テールにカール団長について尋ねた。
「テール、さっきの男が騎士団長のようだけど何か知っている?」
「カール・コマヌ様はコマヌ家の三男であり、剣の腕を見込まれ、護衛騎士団への入団を勧められ、その剣の腕をもって騎士団長まで登りつめたお方ですね」
「そうなのか、声しか聞こえなかったが、どことなく勇ましさを感じたな」
「護衛騎士団は実力主義でして、実家の身分にこだわらず、純粋に剣の腕でその地位をお決めになっているようでカール様はそれほどお高い身分のお家柄でなくとも、剣の腕を示す事で今の地位にいるのです」
そうなると嫡子である僕が臨時に近いとはいえ護衛騎士になるのはやっぱり変ないさかいをおこさないかな?今になって辞退したくなったが、それは父上の顔を潰すことになるし、モンスターテイムありきとはいえ、僕を見込んでくれた陛下や王女殿下、それに今特訓に付き合ってくれているテール達の期待を裏切るわけにはいかない。
「よーーし!あの人に少しでも実力を見せる為に頑張るぞ!テール、実戦訓練をお願い!」
「はい!さすがはニック様、それでこそテリナン家嫡子です」
「でもニック様、相手が格上であろうと最初から負ける事を前提にしてたら実力は出せませんよ、勝つつもりでいかないと」
「うーーーん、それは分かっているんだけどな」
一応僕は自分が剣の腕を見込まれての入団ではない事は自覚しているから、なかなか剣の腕を見込まれている人に勝とうという気概は生まれないなあ、一体どうすればいいんだ?
「テール様でなく、俺が実戦訓練の相手をするっス、思い切り打ち込んできてください、テール様いいっスよね?」」
「ええ、お願いするわ」
「それじゃあニック様、どこからでも来てください」
「うん、行くぞ!」
僕はそう言ってコールに対し木剣で攻撃をした。さすがにコールは上手く見切っているな、だけど僕だっていつまでも負けられないぞ!
「お、ニック様、剣の振りが鋭くなりましたね」
「君達の指導を受けているからね」
「へへ、ニック様の訓練のたまものっスよ、だけどまだ勝った気でいないでくださいね」
「分かっているよ、防御に徹する君やテールから1本取らないと厳しいからね」
その後結局コールに対し1本を取れなかったがいい感じになってきた気はするな。




