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王女殿下の訪れ

 テール、コールの助言で僕は王女殿下の護衛騎士が試合形式に乗じてケガをさせようとする事を考慮し、それらを避ける為の実戦的訓練も取り入れる事とした。


「とはいえまずは剣技の鍛錬から参りましょう、私がお相手をしますので打ち込んでください」

「打ち込んで?」

「ええ、私は反撃をせず防御のみに徹しますので、それでニック様のお力を見極めさせていただきます」

「分かった、よろしくねテール」


 僕とテールはお互いに木剣を持ち、2人共構えると早速僕はテールに対し打ち込んでいく。


 テールはやっぱり戦い慣れしているからか、僕の木剣での攻撃を華麗に受け止める。く、だけど僕だっていつまでもテールには負けてられないぞ!


「!!」


 流石にテールも僕の渾身の一撃に危険を感じたのか、木剣で受け止めずかわした。


 その後追撃に出ようとするが足がふらつき、思うように動かず、その場で立ち尽くす。その様子を見たコールが僕達の立ち合いを止める。


「そこまで!ニック様、残念ですが、それでは次の行動に移れず敵の攻撃を受けてしまって終わりです」

「はあ、はあ、そうだよね、参った、まだテールには及ばないか」

「いえ、ニック様、ニック様の動きも良かったですし、私もウカウカしていられません」

「そ、そう……」


 テールが剣の事を褒めてくれた。嬉しくて照れている僕に今度は厳しい目線でコールと共にダメだししてくる。


「ですがニック様、少し剣を力任せに振い過ぎだと思います。大振りになりすぎて少し隙が多く見られます」

「俺もそう思うっス、剣での戦いは動きを最小限に、何て言ったらいいっスかね……」

「恐らくガリアス様の力強い剣さばきの影響を受けていると思いますが、あれはガリアス様の筋力、そして小さな技術の積み重ねで至った境地なのです」

「そうか、父上もいろんな技術を身に付けて自分の能力を活かす為にスタイルを完成させたのか」

「13歳で成人したとはいえ、ニック様のお身体もまだご成長なさいますし、まずは身体に無理のない形を身に付けましょう」


 テールがそう言うと、どこからともなく声がする。


「あら、ニック、熱心に訓練をされているのですね」

「お、王女殿下!」


 フレア王女殿下がお供の女性を伴って訓練所に現れ、僕やテール達は膝をつき、お出迎えする形をとるが王女殿下はそんな僕達に必要ない事を告げる。


「そこまでかしこまらなくてもよろしいです、私はニックの訓練の見学に来たのですから、ニックこの者達がニックの従者なのですか?」

「は!彼女はテール・オリビン、私の教育係として内政や軍事を学んでおります。そしてオリビア・ガニアン、コール・ガニアン、彼らは私の従士として警護を担ってくれています」


 思わぬ形で王女殿下にテール達の紹介をしたがどうなるかな?

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