訓練所にて
テール達のように騎士の家では王女殿下の護衛騎士に就く事はできないのではないかという話になり、僕はこの世界の身分制度や家を継げるかどうかの差を強く感じていた。
「みんな、そこでだけど騎士団長という人が僕の腕前を見てその護衛騎士にふさわしいかどうかを見極めたいというんだ」
「え?陛下や王女殿下の希望でニック様にお話があったのに、騎士団長がでしゃばったんっスか?」
「陛下もその考えは一理あるって事で、一週間後に僕と騎士団長が立ち合いをする事になったんだ」
「立ち合いですか」
テールやコールが僕が立ち合いをする事に驚いていると、僕は稽古をつけて欲しいとテールやコールに懇願した。
「そこでだ、テール、コール、僕に剣の稽古をつけてくれるか、少しでも彼らに僕もできるぞってところを見せたいんだ」
「それでこそニック様です、いいでしょう、このテール持てる技術を可能な限りお教えします」
「ニック様、俺が相手では厳しいと思いますが、まあニック様のお願いですし付き合いますよ」
「ありがとう2人共」
僕がテールとコールにお礼を言っているとオリビアも僕に話しかけてくる。
「私は稽古にはお付き合いできませんが、ニック様が長く訓練をできるよう魔法での回復をしますね」
「ありがとうねオリビア、それじゃあ早速訓練所に行こう」
「え?ニック様訓練所を使っても良いのですか?」
「ああ、陛下に使いたい時は訓練所の管理責任者に言ってくれればいいっておっしゃっていたからね」
みんなが訓練に付き合ってくれるんだ、少しでも早くしないとと思い、僕はみんなと共に訓練所へと向かっていった。
早速訓練所に着くと、管理責任者に使いたい事を告げる。
「ニック・テリナンと申します、陛下よりあなたにおっしゃれば訓練所は使用していいと聞いておりますが」
「ニック様でございますか、話は陛下よりお伺いしております、どうぞお使いください、訓練を終える際は私にお声掛けください」
「ありがとうございます、それじゃあみんな入ろう」
「はい!」
訓練所に入るとまずはテールより声をかけられる。
「ニック様、本格的な実戦訓練の前にまずはニック様の動きを確認させていただきますね」
「ああ、頼むよ」
そう言って僕は剣術の基本的な動きをし、上から叩き切る動きや横から斬る動き、様々な動きを見せるとテールがストップをかける。
「さすがですニック様、私の稽古日でない日でも自主的に訓練していたのですね、動きを見れば分かります」
「ああ、時々ゲインや警護の兵士に付き合ってもらったんだ」
「だけど、これで護衛騎士に通じるかは疑問ですね、彼らも腕を見込まれているわけですからね」
まあ、主目的は王女殿下を守る事だしね、単なる家を継げない者への救済処置なわけはないよね。




