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身分制度

 父は城内での任があると部屋を退室し、僕は立ち合いとそれに備えた剣の稽古が必要であることを説明する為に、テール、オリビア、コールを部屋に呼んだ。


「みんなに集まてもらったのはちょっと話さなくちゃいけない事があってね」

「いかがなされました?」

「実は父上が今後も登城する際は僕も同行する事になり、その時だけフレア王女殿下の護衛騎士をする事になったんだ」

「フレア王女殿下の護衛騎士⁉お待ちください、テリナン家の嫡子であるニック様が何故でしょうか?」


 やっぱりテールも驚くよな、ホップンの力を見極めたいという陛下のお考えとフレア王女殿下の希望が合わさりその話になった事を説明する。


「ちょっといいっスか?俺達はニック様の従士で護衛役を担っていますが、俺達の扱いはどうなっているんですか?」

「陛下からお考えを聞かなければ分からないが、僕としては君達も護衛役に加わってくれると助かるな」

「あのニック様、それは難しいかと思います」

「テール、どうして?」


 テールがコール達が護衛役に就くのは難しいと言い、僕が尋ねるとその理由を話してくれる。


「護衛騎士というのは名こそ騎士ですが、皆様、貴族の三男四男と家を継ぐ資格はありませんが、新たな任に誇りを持っております」

「うん、それは僕も陛下から聞いた」

「ですがオリビアやコール、そして私も騎士の家の生まれです。騎士は王族や貴族に仕えその武を主君の為に扱うのですが、我らでは騎士の家というのが王女殿下の護衛として不適格と思われるでしょう」


 そうだ、この国、いやもしかしたらこの世界は身分でしっかりと統制されているのを忘れていた。それが貴族の子供の間でもしっかりとあり、家を継げない者にはそれ相応の役割しか与えられないんだよな。


 そしてテール達は騎士の家の生まれで、その家を継ぐ事はできるが、貴族の領分にまでは立ち入れないんだ。


 王女殿下の護衛騎士が本来貴族の三男四男あたりにあてられる役割なのだから、彼らを立ち入らせる事は護衛騎士のメンツをつぶすことになるんだ。


「だけどテール様、俺達はニック様の護衛の為に今後も同行するとして、城についてからの俺達はどうするんですか?」

「私も分からないわ、ニック様のように嫡子が王女殿下の護衛騎士の任に就くなんて聞いた事がないから」

「……とりあえず陛下にも君達に何かしら任がないか聞いてみるよ」

「お手を煩わせて申し訳ありません、我らでは直接陛下とお話しする事ははばかれるので」


 改めて、この世界のきつい身分制度を垣間見たな。

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