近づく王女
国王陛下の息女であるフレア王女殿下の護衛騎士に任命された僕であったが、今の護衛騎士より僕の腕前を見たいという提案があり、一週間後僕は騎士団長との立ち合いをする事になったのだ。
「一週間後ですか?」
「うむ、その間にガリアスには城内での任を命じておるからな、お前達が帰る日を立ち合いの日とする事にしたのだ」
「そうですか、分かりました、このニック剣の腕前でも認められるよう精進します」
そうは言ったものの、護衛騎士相手に僕の剣技はどこまで通用するんだろうな。後でテールやコールにも相談してみるか。
「では、もう下がってよいぞ」
「「はっ!」」
父と僕は陛下の私室をあとにしようとすると、王女殿下が呼び止める。
「あ、ニック、ちょっとお待ちいただけますか?」
「何でしょうか?」
「その、あなたが従えているアルミラージ、ホップンをわ、私も触ってよろしいでしょうか?」
「おそれながら申し上げます、ホップンは私と親しき者にしか心を許しておらず、本日お会いしたばかりの王女殿下がお触れになると危害の恐れがございます」
ホップンに興味を持ってくれるのは嬉しいけど、王女殿下を傷つけたとなると僕は切腹、いや、西洋だとギロチンかな?いずれにしても処刑されるのは間違いないな。
僕がそれを恐れていると陛下も僕の発言に同意してくれた。
「ニックの申す通りだ、手懐けているとはいえ、むやみに魔物には触れぬ方が良いであろう」
「そうですか、ではニック、それならまずはあなたと仲良くなりたいので、後でお部屋に迎えに行ってもよろしいでしょうか?」
「そ、それは王女殿下のお手を煩わしますし、私もこれから立ち合いに備え臣下の者と剣の稽古をしなければなりませんので」
「うーん、では稽古の様子を見学させていただいてもよろしいでしょうか?」
すごいグイグイくるなあ、さすがにどう断ればいいか迷ってきたぞ。
「フレア、臣下とはいえ、今日のニックは客人であるし、あまり困らせるでない」
「ですが父上、臣下たるニックの事、そしてホップンの事は城に滞在している間しか知り得ないので少しでも交流したいのです」
「うーーーむ、ニック、稽古の様子だけでもフレアに見せてやってくれ」
「陛下がそうおっしゃるならば」
「ありがとうございます、ではニックまた後程」
とりあえず王女殿下は納得してくれたのか、僕達は陛下の私室をあとにし、客室に戻った。
「ふう、少し休んだら剣の稽古ですね」
「しかし、ニックよ早速お前は王女殿下のお眼鏡にかなったようだな」
「まさか、父上ご冗談を」
「まあ、先程も申した通り我らは忠義がある事を示さなければならぬ。できる限り王女殿下と親しくしておくのも良いであろう」
王女殿下と仲良くか、でもこれって余計に護衛騎士のひんしゅくをかわないかな?




