国王の提案
僕と父は玉座の間で国王陛下との謁見を終えると客室で一息つき、再度陛下からお呼びされるのを待っていた。
そしてしばらくすると扉をノックする音が聞こえたので反応をする。
「はい」
「ガリアス・テリナン様、ニック・テリナン様、陛下がお呼びですので、陛下のお部屋までご案内します」
「うむ、分かったすぐに参ろう、いくぞニック」
「はい」
使いの人に呼ばれ、僕と父は案内されながら陛下の私室へと向かっていく。
陛下の部屋らしき場所の前に到着すると使いの人が扉の前で中にいる陛下に声をかける。
「陛下、ガリアス・テリナン様とニック・テリナン様をお連れしました」
「入れよ」
「は!それでは、中へどうぞ」
国王陛下、そして使いの人に促されて僕達は陛下のお部屋に入室する。
「おお、よくぞ参った!ささ、テーブルに着くがよい」
「は!」
「は、は!」
「お前はもう下がってよいぞ」
使いの人に下がるよう促し、使いの人もその発言に応える。
「はっ!それでは失礼します」
使いの人が下がると、陛下は早速本題へと話を切り出していく。
「さてニックよ、お前が従えているアルミラージ、それは覚醒したスキルで手懐けたと聞くが誠か?」
「はい、アルミラージの集団により危機に陥っていた時に覚醒し、そのスキルでこのアルミラージ、ホップンを手懐ける事に成功しました」
「ふむ、危機によりスキルが覚醒し、発動させたことで魔物を従わせられるようになったとはな」
「はい、私も信じられないのです」
父によると過去にも魔物を従わせられるスキルを所持していた人はいたようだが、今の時代は珍しいらしい。
「ニックよ、余はお前のスキルが昨今の魔物を操り我が国へ危害を及ぼすものに対する対抗策と考えておるのだ」
「陛下、恐れながら申し上げます!いかにニックの才が素晴らしくともまだニックは初陣を終えたばかり!まだ国外に対する戦力として考えるのはいかがかと思います」
「慌てるな、余とて簡単にニックを戦力にしようとは考えてはおらん、だが今後はガリアス、お前が登城する際はニックも伴ってはくれぬか」
「ニックも登城ですか?」
「うむ、ニックのスキルを活かす為には我らの方でもニックの力を見極める必要がある」
「はい」
「とはいえ、嫡子ではあるがまだ当主でもない者が余に直に仕える事は難しいであろう、そこでだ我が子に仕えてもらおう、入るがよい」
我が子に仕えろ?その言葉を聞いて間もなく誰かが入室してきた。
「あなたがニック・テリナンですね、お初お目にかかります、ボートルト王国第一王女フレアと申します」
お、王女様⁉、僕、王女様に仕えるの?