出発準備
ミアはホップンがコールに威したのは僕がつけてくれた名前をからかわれ、僕に失礼だと思ったのが原因だと話してくれて、僕もホップンに確認をすると認めるものの、ホップンは混乱し小屋に戻った。僕がコールの事を褒めたのが原因だとテールは言うが、どうしていけばいいのだろうか。
ともかく明日には国王陛下の謁見の為に王城に向かう事になったし、ホップンと離れるわけにはいかないし、コールは同行させなくてはいけない。うーーーん、頼むから仲良くしてくれよ!
そして翌朝、父、僕、テール、オリビア、コールは王城へ向かうべく馬車に乗った。
念の為に、僕と父は刺客等の襲撃に備え、別々の馬車に乗り、時間差をつけて出発する事になっている。テリナン家の当主と次期当主が共倒れを防ぐ為の措置だ。
僕が乗る馬車にはテールが乗ることになり、父の馬車には事情を話し、オリビアとコールが乗る事にしてもらった。
「申し訳ありません、父上」
「仕方あるまい、味方で同士討ちを知られてはそれこそ刺客に付け入るスキをあたえかねん」
「……はい」
「だがニックよ、この問題はコールの主君であり、ホップンの主人でもあるお前が解決しなければならぬから肝に銘じておけ」
父はそう言うよな、仕え方は違うが自分の臣下のいさかいを上手く収めるのも君主の務めだ。
「それじゃあニック様そろそろ馬車にお乗りください、ガリアス様お気を付けを」
「うむ!私の馬車がとりあえず先行することになっておるからな、オリビア、コール、頼むぞ」
「はい」
「任せてくださいよ」
コールは返事がいいな、思ったより、落ち込んでないのか?それともホップンと離れられるから上機嫌なのか。
スキルの事もあるから僕がホップンとそう簡単に離れられないから、いさかい避ける為には今はコールを離すしかないんだよな。でもそれじゃあコールは従士の役割を果たせないし、結果的にオリビアも巻き添えをくらっているからな。
「ニック様、今回の件はいたし方ありません。コールに失礼な部分があったのは事実ですが、ホップンがあそこまで怒り、ニック様のおっしゃることも素直に聞き入れられないのが想像を超えた行動でしたからね」
「ああ、ホップンは他のみんなとはいい関係なんだし、コールとも仲良くしてほしいんだけどな」
「お気持ち察します、だけどニック様が焦りすぎるとどちらからも反発があるかもしれませんし、慎重に事は進めましょう」
「うん、ありがとうテール」
両者の関係をどう取り持つか考えている僕に早速、図らずもその機会が近づいている事をまだ僕は知らなかった。