混乱
ミアがオリビアよりホップンとコールがけんかした事を聞き、その話で思った事を僕に伝えようとしていた。
「それでミアが思った事って何かな?」
「はい、ホップンの名付け親はニック様でしたので、もしかしてホップンはニック様に失礼をしたと思って、コール様に威嚇したのではと思いまして」
「え?それってホップンが僕の為に怒ったって事だよね」
「ええ、私はそう思うのですが」
命名したのは確かに僕だから、自分の事じゃなくて僕の事で怒ったっていうのか、あれ?でも確か僕が質問したときは……。
「でもミア、僕がホップンに質問をした時はそんな事言っていないし、それどころか妙に返答に歯切れが悪かったな」
「そうなのですか、ホップンはもっとニック様には素直だと思ったんですが、どうしたんでしょうね?」
「ここにホップンがいるし、ちょっと聞いてみるよ」
僕はミアから聞いた話をホップンに聞いてみる事にして、ホップンに声をかけた。
「ホップン、本当にミアの言う通りなのか?」
「キュ、キュ……ン……」
「あのさあホップン、僕の為に怒ってくれたかもしれないんだけど、その、それは僕の為になっていないんだよ」
「キュン?」
これだけじゃあ今一つホップンには分からないか、もう少し噛み砕いて話そう。
「ホップン、ホップンは言うなれば僕の家族のようなものだし、コールにしたって僕の従士で僕を守る為に戦ってくれるんだ」
「……」
「そんな君達がケンカするのは僕にとってはとても悲しいんだ、分かるかな?」
「キュ……ン……」
ホップンの名前は僕が付けた、それでコールからのあの発言、僕に対する不敬だと思って怒ったと思うと、僕も少し責任を感じるな。
だからこそ、ちゃんとホップンに伝えなくちゃと思ったけど、ホップンは無言で僕の元から去り、庭にある小屋へと向かっていった。
「あ、ホップン、待って……どうして……僕のいう事は聞けないのかな?」
「ニック様、きっと混乱しているのだと思います」
「テール、混乱って?」
「ホップンにとってコールを不敬に感じたならばニック様より遠ざけなければと思ったのでしょうが、ニック様はコールを大事に思っているお言葉がホップンにとってどういう事か分からず混乱したのでしょう」
「そうか、それじゃあ一体どうすればいいんだろう?」
「ホップンは賢い子ですし、いずれ分かってくれると思います、その時を信じてニック様が愛情を持って接する事ですね」
「ありがとうテール、立派にホップンの主人、そしてコールの主君を両立させるよ」
そうだ僕のスキルは操作魔法ではなく、魔物と仲良くなるきっかけに過ぎないんだ、だから僕自身がもっとホップンを大事にしないと。




