威嚇するホップン
父より国王陛下に謁見し、初陣報告をする日を伝えられた翌日、僕の従士であるオリビアとコールが屋敷を訪れて来たので、僕は自ら希望し直接2人を入り口で出迎えた。
「オリビア!コール!久しぶりだね!」
「お久しぶりですニック様」
「どうも、いやあ後処理に追われて大変でしたよ、あれ?そのアルミラージ相変わらずニック様に懐いているんですね」
コールはいまだに懐いているのが不思議なのか、基本的には魔物は操作魔法みたいなのを使わないと懐かないと思っているだろうから無理もないな。
「多分スキルのおかげだよ、あ、そうだこのアルミラージにはホップンって名付けたから2人もそう呼んでくれるかな」
「分かりました、よろしくお願いしますねホップン」
「ホップンか、なんかあの凶暴なアルミラージの名前にしてはちょっと可愛すぎないっすか?」
コールは少し軽口のつもりだったろうが、その時にホップンがコールに対し威嚇のように叫びだす。
「ウーーーー!グルルルルーーー!」
「何だコイツ!いきなり叫ぶなり牙を向けやがって!やんのか!」
コールが槍を構えているのが見えて少し離れた所にいたテールが駆け付け、コールに注意をする。
「やめなさいコール!何をしているの、ニック様の御前よ!」
「テール様、でも先に俺を威嚇したのはこいつですよ、それに俺だって身の危険を感じたから槍を構えただけです」
「そうなのですかニック様?」
「うん、確かにいきなりコールを威嚇したのはホップンだったよ」
僕はとりあえず起きた事実をそのまま伝えると、そこでオリビアが話にはいってきた。
「口を挟むようで差し出がましいのですが、私はコールが名前が可愛すぎるといってそれに腹を立てたのではと見ていますが」
「どういうこと?」
「ええ、もしかしたらホップンはコールに名前をからかわれたと思って、それでコールに対し威嚇をしたのではないかと思いました」
「そうなのかホップン?」
「キュ、キューーン……」
「今一つ歯切れの悪い返事だけど、そうらしい」
「そうだったんすか、それなら悪かったなホップン」
「ウーーーー!」
「ま、まだ怒ってんのかよ」
まだコールへの威嚇は続いているな。
「ごめんコール、また僕からしっかりとホップンには言っておくから」
「……まあ、ニック様がそうおっしゃるなら、でもこのままじゃあニック様の護衛が満足にできそうもないので」
「コール、ニック様になんてことを申すのですか」
「でも姉上、確かに俺の言い方も悪かったんですが、従士が自分の任をまた別の従者に妨害されるのは不本意ですよ」
「従者……」
僕はホップンの言葉は分かるが本心は分からない、一体コールの発言をここまで許せないのは何故だ?