初陣報告の日
ホップンが屋敷に来てから数日が経った。部屋の中でずっと過ごすといろいろ汚す事もあるので、ゲインがホップンの為に小さな小屋を作ってくれた。
基本的に僕が屋敷にいる間はそこで過ごしてもらい、遠出の際には連れていく事になった。スキルの事が分からない以上、あまりに離れるとスキルの効力が切れて野生に戻る事があるかもしれないからだ。
それからキャシーやミアがホップンの為にいろいろ餌を用意してくれて美味しそうに食べている。
そして今日僕は屋敷でテールより剣や魔法、政務に関する修行や講義を受けていると、父に呼ばれたので執務室まで行った。
「ニックにございます、ただいま到着しました」
「テールにございます」
「2人とも入れ」
父に促されて僕とテールは執務室に入室し、早速父が用件を話した。
「2人共早速ではあるが用件を話す。ニック、お前の初陣報告の日が決まったと陛下より文をいただいた」
「そうなのですか、それでいつになるのですか？」
「3日後にここを発つ、それで1日で到着する」
「はい、あ、それからオリビアとコールはいつ頃またこちらに来るのでしょうか？彼らも同行させるとおっしゃっていたので」
オリビアとコールはそういえばまだ来ていないんだよな。僕の従士だし、出発時にいないと同行させられないからな。
「とりあえず後処理は終わり、明日にはこちらに到着する。既に初陣報告の事は伝えてある」
「ありがとうございます」
「ガリアス様、ホップンもやはり連れていかれるのですか？」
「うむ、一応陛下にもニックが魔物を手懐けた事は報告してあるから、いきなり討伐される事はないであろう」
そうだね、今回はこの僕のスキルの事も陛下に報告し、相談する事も目的だからね。むしろそっちが主目的と言っていい。
「お前達に伝えるべきことは伝えた。下がってよいぞ」
「はっ！それでは失礼します」
「はっ！」
僕とテールは父に促されて執務室を出て、僕の部屋へと戻る。
「ニック様、初陣報告を陛下に直接行う事ができる方は基本的に爵位を継ぐ資格のある方だけなのです」
「そう、じゃあテールは初陣報告はどうしたの？」
「私の父はガリアス様の直臣でしたから当然ガリアス様に行いました。今この領地はガリアス様が治めていますが将来的にはニック様がお治めになるので陛下にお顔を覚えていただく意味もあるのです」
この国は王家が頂点として国全体を統治し、国王だけで管理できない土地を国王の直臣である貴族身分、テールのいうところの爵位を持つ者が治める。
僕は公爵家であるテリナン家の嫡男だから将来的には爵位を継ぐことにはなるからいずれこの土地を治めるのだ。
