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2人の使者

 会談の返答が届かない日々の中、僕達は不測の事態に備えて修行をしていた。そんな中、テールが模擬戦をしている僕とコールの元に現れた。オリビアを一緒にやってきた。


「ニック様、ガリアス様がお呼びです。執務室までいらして欲しいとのことです」

「ついにダイダイやプールから返事が来たのかな」

「そうかと思われます、オリビアとコール、私も一緒に話を聞くよう仰せつかっております」

「俺達もですか、それならやっぱり会談の話じゃないですかね」


 テールからの知らせを聞いて、僕達は父の待つ執務室に向かい、部屋の前から中にいる父に呼びかける。


「父上、ニックにございます。テール達も一緒です」

「入れ」


 父に促されて僕達は入室して父に促されて椅子に座る。


「座れ、早速だがニックよ、プール、ダイダイ両国から返事が届いた」

「返事はなんと?」

「両国とも会談に応じるそうだ。プールよりは御用商人のガスがそしてダイダイからはザイル宰相が使者として王城に赴く予定だ」

「御用商人が使者ですか?一体プールは何を考えているのですか?」


 臣下ではなく商人が使者なんて僕はとても信じられず、思わず父に疑問をぶつけたけど、父は冷静に返答をする。


「ガスはプール王国はもちろん、王国内の様々な領主にも顔が利き、更には商人ギルドの元締めでもあり、他国の情報をあらゆる人脈から得られプール内でも重用されている者だ」

「軍事力で劣るプールが我らやダイダイとも渡り合えるのも彼の商品の目利きや情報取集力が大きな力となっているのです」

「奴の事だ、プールや自分の商圏を守る為にあらゆる手を尽くしてくるだろうし警戒しておくにこしたことはない」

「そうですね、ザイル宰相はダイダイ帝国の宰相ですがどのような人物なんですか?」


 ザイル宰相は僕も聞いた事があるダイダイ帝国の宰相だが父に更に詳しい人物像を聞いてみた。


「ザイル宰相はダイダイ帝国の拡大に際し、大きく力を発揮した人物だ。また魔法にも精通しており、新たな魔法の研究をしているという話だが、そこについては私も分からん」

「ひょっとしてそのザイル宰相が操作魔法を駆使していたんじゃ?ガリアス様」

「そう考えるのは早計であろう、ガスが人脈で腕のある魔術師を雇っても可能ではあるし、あるいは両国が結託していることも考慮しなくてはならん」

「いずれにしても今度の会談で見極めないといけないのですね」


 いよいよ会談か、少し不安ではあるし、この使者に惑わされないようにしないとね。

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