それぞれの模擬戦
テールの提案で僕達はホップン達との模擬戦をする事になった。テールが言うには僕達自身が魔物との戦いにおいてその動きにしっかりと備えられるようにする事、そしてホップンとショウも強くなっておく必要があるというのだ。
手始めにコールがホップンとの模擬戦に臨んだけど、ホップンの素早い動きに翻弄されてなす術がないまま敗北してしまったのだ。
「はあ……はあ……ちきしょう!もう少しやれると思ったのによ」
「大丈夫ですかコール?ケガはないですか?」
「大丈夫っス姉上、だけどこれはとんでもないですね」
オリビアがコールに駆け寄り、ケガがないかと心配するが、コールにケガはないようだ。だけどコールは、全然ホップンの動きについていけていなかったな。
「ニック様、コールでもこれでは我らがホップンやショウに立ち向かうのは無謀かと」
「テールもだめかな?」
「ええ、さっきのホップンの動きを見たら私では到底追いつけないでしょう」
「そうか……それに加えてホップンは動きの速さだけじゃなくて爪とかの殺傷力もすごいからね」
なんだかんだホップン達に助けられて今までの戦いも乗り切っていたし、彼らの力はとても大きかったんだな。
「……ニック様、ひとまずホップン達との模擬戦は中止で、我々のみで模擬戦をしましょう」
「そうだね、それじゃあコールはしばらく休んでもらうとしてテール、僕との模擬戦お願いできるかな?」
「はい、お相手いたします」
とりあえずホップン達との模擬戦は中止にして僕とテールでまずは模擬戦を行う。やっぱりテールは強いけど、ホップンはこれ以上だと思うと、自分のモンスターテイムがすごいスキルであることを実感するな。何たって自分より強い魔物を使役できてしまうからね。
「ここまで!お疲れ様ですニック様」
「ありがとう、テール、コールはまだ疲れているだろうし、今日の模擬戦はここまでにしょうか」
「いや、俺だけサボってるわけにはいかないっス、少し休んだらニック様かテール様、お相手を頼みます」
「じゃあ私が相手をするわ、ニック様はホップン達の様子を見てあげてください」
模擬戦のために呼び出したのに強すぎて模擬戦を外された2人には一応謝ったほうがいいかな。
そう思って僕は自分の部屋の近くの庭に行くと、そこで思わぬ光景を目にする。
「え⁉ホップン、ショウ!模擬戦を!」
「キュン!」
「ガーーー!」
そうか、僕達は僕達で強くなって、自分達は自分達で強くなると思って、模擬戦を始めたのか、ちょっと見届けてから戻ろう。




