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魔物との模擬戦

 テールから突如出たホップンやショウとの模擬戦の提案に僕は戸惑っていて、テールに尋ね返す。


「え?テール、どうして急にホップンやショウとの模擬戦を提案してきたの?」

「理由は2つあります。1つは、もしプールやダイダイとの交渉で今回の件がうやむやになればまた魔物をけしかける事が予想されます。その戦いに備え、ホップンやショウ、つまり魔物の動きを肌で学ぶことは大事なのかと思うのです」

「もう1つは?」

「もう1つの理由は、ホップンやショウ自身にも強くなってもらう必要がある事です。彼らは比較的強い個体で群れの長でしょうが、彼らとも対等以上に渡り合える魔物への備えという意味でも」


 僕達がホップン達から魔物の動きを感じ取り、そしてホップン達も強くなってもらう必要があるという事でテールは模擬戦を提案してきた。僕は彼らにも運動をさせてはいたが、それだけでは不十分という事か。


「分かった、君の言うように早速ホップン達との模擬戦を始めよう」

「ではまずはホップンに模擬戦をしてもらいましょう、それじゃあ相手は……」

「テール様、俺が行きますよ、いきなりニック様が相手じゃあホップン達もやりにくいでしょうから」

「そうね、それじゃあ最初はコールとホップンでの模擬戦を始めましょう」


 まずはホップンの模擬戦の相手をコールがしてくれる事になった。ホップンがスキルを使用した僕に対してやりにくいと思っての名乗り出だけど、コール自身もホップンと腕試しがしたいと思っていたんだろうな。


「それじゃあこれよりコールとホップンの模擬戦を始めます。両者準備は?」

「俺はいつでもいいですよ」

「キュン!」

「それでは始め!」


 テールの始めの合図を聞いて、いきなりホップンがコールに飛び掛かって行った、なんていう速さだ!


「キュン!」

「うお!早えな!だが、俺も負けてねえぞ!」


 そう言って、コールは神速スキルを使用して自分の速度を上げてからホップンと距離をとった。


「はあ、はあホップンのあの牙はやっかいだな、速さもあるし……」

「キュン!」

「うお!ちきしょう息つく暇もないな!」


 すごい!ホップンは動きの速さも通常のコール以上で少しの隙も逃さないなんて、そしてホップンの牙と前足による攻撃をひたすら槍で受けてコールは防戦一方だ。


「はあ……はあ……ま、まいった、俺の負けだ!」

「キュン!」

「勝者ホップン!すごいわね、まさかコールが何もできずに降参だなんて」


 模擬戦は完全にコールを圧倒してのホップンの勝利で終わった。これお互いに練習になるのかな?

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