閑話 ダイダイ帝国皇帝
ここはダイダイ帝国の宮殿、その玉座の間にて玉座に座りながら部下の報告を待つ1人の男がいた。ダイダイ帝国皇帝バーダスだ。そして今そのバーダスに報告が届けられた。
「陛下、ボートルト王国より書状が届いております」
「読み上げよ」
「はっ!」
部下はバーダスに対してボートルト王国国王マーズより届けられた書状を読み上げる。内容はプール王国も交えた3国による会談の提案だ。
「なるほどな、領土境界線や商圏についての取り決めを話し合うとな……」
「陛下いかがなさいますか?」
「良かろう、だが念の為にプールにも使者を送り、会談への参加の意志を確かめておけ」
「はっ!」
皇帝バーダスはボートルトよりの3国会談の提案を受ける事とするが、プール王国の参加の意志を現段階で確認するよう部下に使者の派遣を命じる。
「さて、会談に派遣する使者を誰に任せるかだがボートルトで行うのだな」
「はっ!」
「ならばザイルに任せようあやつは我が国の宰相であるからな」
「はっ!ではザイル様をお呼びしてまいります」
バーダスは3国会談の使者をザイルという帝国宰相に任せる事を部下に告げ、早速部下はザイルを呼びに行き、しばらくするとザイルが玉座の間に到着し、膝をつきバーダスに声をかける。
「お呼びでしょうか陛下?」
「うむ、ボートルト王国が会談を申し込んできた、領土境界線や商圏についての取り決めをプールも交えた3国でしたいと書いてはおるが……」
「別の狙いがあると……ですかな?」
「さすがだなザイル、おそらくは我らの今の目的をそれとなく探るつもりであろう」
ボートルトが領土境界線や商圏についての取り決めを表に出し、それとは別に自らの目的を探ろうとするとバーダスもザイルもにらんでいた。
「陛下、すでにお耳に入っているとは思いますが、ボートルト内に潜ませた魔物の群れが解散し、行方をくらました魔物の捜索をしましたが群れの長はいまだ発見できておりません」
「……そうすると奴らはその魔物を撃破し、我らの操作魔法に気付いたとしてそれを探るのが目的か」
「ですが陛下、我らの操作魔法に気付くにはかなり魔法に精通していなければなりませぬ、ボートルトにそれほどの魔法の才を持つ者はいないはずですが……」
「……まあ会談を行えば奴らの狙いが分かる、その為にお前を使者として派遣するのだからな」
「はっ!陛下のご期待に沿えるようこのザイル、任を全うしてご覧に入れます」
魔物の群れを潜ませていたダイダイ帝国、ボートルトとの会談の結果はいかに?




