王の返答
父が国王陛下に対してプール王国、そしてダイダイ帝国への会談を申し入れる進言の旨を書いた文を送ってからはや数日が経ちそして陛下より文が届いたという知らせがあり僕とテールは父に呼ばれて父の執務室へと向かった。
「父上、ニックにございます、テールも共に参りました」
「入るがよい」
「では失礼します」
父に促されると僕とテールは執務室へと入室し、早速父は本題へと入っていく。
「それで、知らせた通り陛下より先日送った文の返事が届いた、お前達にも目にしてもらおうと思って、呼んだのだ」
「父上もまだご覧になっていないのですか?」
「うむ、今回の件はお前達も当事者であるからな、共に目を通すのが良いと思ってな」
父が陛下に会談の進言をする為に文を送ったのは僕とテールの軍事演習中に起きた魔物の襲撃がきっかけであるし、その事も考慮して僕達にも中身を確認してもらおうという考えなんだろう。
「それでは開けるぞ」
父も陛下からの文とあっておそるおそる畳まれてある書状を開き、それを自分の机の上に広げる。
「では私が読み上げるから心して聞くのだぞ」
「はい」
「はっ!」
僕とテールが父の言葉に了承すると父は国王陛下よりの文を読みあげる。
『ガリアスよ、此度の貴殿のプール王国、並びにダイダイ帝国との公式会談を開いてはとの進言の旨を書いた文を拝読したが、余も最近の国内での魔物の不可解な行動は看過できんと思っていたところではあった。そこで表向きは商圏や領土境界線の擦り合わせの会談と称し、そのあたりの話を盛り込む次第だ。既に使者は送っておるので正式な日取りが決まれば貴殿や貴殿の嫡子であるニックにも同席してもらおうと思って居る、そなたらの領内が特に魔物の被害がある事も考えれば妥当な人選であると思ってな。では正式な日取りの決定を待つよう願う。ボートルト王マーズ』
陛下は既に使者をプールやダイダイに送っていたのか、陛下もやっぱり早々に対処の必要があると思っていたんだな。
「以上が陛下のお考えだ。ニックよ、お前も会談に同席することになってしまったが、心得て臨むのだぞ」
「はい!ですが、父上、私はその場でどのようにふるまえばよろしいのですか?」
「意見を望まれたら答えれば良いが、主に話すのは陛下や私になるであろうな、無論、魔物に関しては詳しい説明を望むがな」
「はい、お任せください」
「それからニックよ、陛下は特に言及はなかったが、私はホップンやショウはまだプールやダイダイにその存在を明かすべきではないと思う」
ホップンやショウは他国には隠すのか、それはなんとなく意味が分かるな。




