怒りに震える母を私は見ても、彼を絶対に母親なんかに渡しません!
私の目の前で、私の母親が怒りに震えていた!
何故なら? 私が母親の再婚相手を奪ったからだ!
彼は私を庇って、母親を説得しようと必死になって訴えかけているが、
母親は全く納得していない。
私を殴り怒りに身を任せて、母親は私にこう言ったのだ!
『“もう、アンタなんか親子でもなんでもないわ!
二人して、もうこの家から出て行け! それと親子の縁も切るから、
分かっているだろうね。』
『・・・ううん、』
私も母親の再婚相手も、母親に何一つ言えずそのまま家を出る事に......。
当時、私はまだ現役の高校2年生で16歳だった。
・・・私と母の再婚相手が会ったのは?
母親が“彼氏がデキたと”私に打ち明けてきた1年前。
その時、私は初めて母の再婚相手と会う。
会った瞬間、私は彼に“一目惚れ”をしてしまった。
やっぱり親子なのか?
“男性の好きなタイプも一緒なのだと思った。”
それでも相手は、母の再婚相手!
絶対に好きになってはいけない男性。
だから私は彼が好きな事を、自分だけの胸にしまい込む事にしたのだが、
でもある時、母親がパートの人達と旅行に行くと言って家を空ける。
残された私と母の再婚相手は、そこで過ちを犯してしまった。
その夜は、母親の再婚相手の胸の中で眠る事になり、朝を迎える。
私と彼が起きた時には、母親が家に帰って来ていたのだ!
『アンタ達、一体? 何してんの?』
『えぇ!?』
『これは違うんだ! 頼む、ちゃんと俺の話を聞いてくれ!』
『“何が違うのよ! まさか!? 娘とあんな事になるなんて、
ワタシは思ってもみなかったわ!”』
『頼む! 俺の話を聞いてくれ!』
『アンタはどうなのよ! 美海、』
『お母さん、私ね、』
『もういい! 二人ともこの家から出て行って!』
『俺と美海は、ずっと俺達の娘だろう!』
『何が娘よ、血の繋がった父親なら娘に手を出すような事はしないわ!』
『・・・・・・』
『お母さん、拓さんにそんな言い方、』
『・・・お願い、ワタシの前から二人共! 出て行ってよ!』
『・・・お母さん、』
『分かった、美海行くぞ!』
『・・・ううん、』
母親が私達に怒りを込み上げて震える声で話している姿を見ても、
どこかで私は、母親に彼を絶対に渡さないと決めていた。
“彼は私のモノ!”
母親であっても彼を誰にも取られたくない!
私は母親との縁を切る事を心に誓う。
彼を失うくらいなら、母親との縁なんかどうでもいいとあの時の
私はそう想えたのだ!
それぐらい私はもう既に彼に夢中になっていた。
・・・そして二人で過ごすようになって。
彼も母親より私の方が好きだと言ってくれるようになった。
『じゃあー学校に行ってくるね!』
『うん、気を付けてな!』
『うん! じゃあー行ってきますー!』
『いってらっしゃい~』
彼は父親と母親の両方をしてくれていた。
朝早く起きて、朝ごはんを作りお弁当、洗濯、掃除、料理は私がやっていたが、
時には父親のように私をしっかりと叱ってくれる事もあった。
そんな彼を私はずっと好きだったの。
・・・でも? 彼は仕事場で疲労で倒れてそのまま帰らぬ人に。
私は仕方なく、“縁を切った母親の元に一度帰る事にした。”
既に母親の元を離れて2年が経っていたが。
私も18歳になり高校を卒業後、働く事にした。
それでも、理由を付けてでも私は母親と会いたいという想いが
離れないでいた。
だから、私は。
【ピーポーン】
『はーい! どなたですか?』
『・・・み、美海だけど、』
『えぇ!? 美海かい、どうして今頃、またワタシに会いに?』
『彼が、拓が亡くなったの。』
『えぇ!? 拓が、なんで?』
『“過労死で亡くなったの、”』
『まあ、ここじゃなんだから、家の中に入りなさい!』
『・・・ううん。』
私は母親と離れてからの2年間の事を、ゆっくり話す事にしたわ。
母親も何も言わず、黙って私の話を聞いてくれていた。
でも最後は、私にこう言ったの!
『話はよく分かったわ、でもね? ワタシはアンタをまだ許せてない!
ワタシの大事な夫を奪い、そのまま出て行った事も、、、!』
『わ、分かってる、私だってそう簡単に許してもらえるとは思ってないわ!』
『アンタが良ければ、またこの家に戻って来たら?』
『えぇ!? いいの?』
『“もう一度! 親子の関係を取り戻すしかないんじゃない?”』
『・・・お、お母さん、』
『アンタの事は本当に憎んでるけど、その前にアンタはワタシがお腹を
痛めて産んだ子には間違いないしね。』
『・・・あ、ありがとう!』
『拓も天国で今頃喜んでるんじゃないかな。』
『そうだといいけど、』
『そうに決まってるわ! ワタシとアンタが好きになった、たった1人の
男なんだもの!』
『うん、そうだといいね。』
私と母親は、2年ぶりに親子の関係を取り戻した。
正確にはこれから少しづつ親子の関係を元に戻していくんだと思う!
そんな私達を彼は天国で喜んで見ていてくれているかな?
ずっと、私と母親の事を心配していたのは誰よりも彼だったんだもの。
最後まで読んでいただいてありがとうございます。




