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分かったこと

 初めて地球上にモンスターが現れてから三週間が経とうとしていた。その間に色々と分かったことがある。


 一つ目。


 モンスターは月曜日の零時から二十四時の間しか出現しない。日付の変わった頃にポツポツと現れ始め、明け方に向けて数が増え始める。そしてそのまま好き放題に暴れて深夜にパタリといなくなる。


 これは人類にとって非常にやりやすかった。戦う力のない者は日曜日のうちに避難所に移動し、力のある者がそれを守るのだ。


 力のある者の代表は自衛隊と警察だ。モンスターにも銃火器は通用する。なので、彼等は大活躍。大量にモンスターを倒した自衛官はレベルランキングの上位に多数入っている。


 二つ目。


 俺のスキル【成金パンチ】はチートだ。モンスター来襲の初日に俺が出した与ダメ81590000は日本はおろか世界でも未だに破られていない。成金マンは与ダメランキング世界一なのだ。


 俺がミノタウロスを【成金パンチ】で撲殺する動画がTwittorで晒されて「#成金マン」がトレンド入り。四辻達との連絡用で作成したアカウント「@narikin_man」もフォロワー数が五万を超えた。そしてDMが止まらない。


 正体を隠す為に始めた「成金マン」だったが完全に裏目にでた。某巨大掲示板では成金マンの正体を特定するスレッドが建てられ、大盛況だ。


 そして三つ目。有名になると碌なことがない──。


「お前が成金マンだな! 俺様と勝負しろ!!」


 俺の住む市にある総合スポーツセンター。そこでモンスター達が現れるのを待ち構えている時だった。全身を七色のスパンコールのスーツで包んだ男が俺の前に現れた。年齢は五十手前だろうか。演歌歌手のような雰囲気を感じる。


『成金マン、知り合い……?』


 側にいた四辻が小さな声で訊ねる。


『いや、あんな奴知らない……』


「何をコソコソしてやがる! ビビってるのか!?」


 派手な男は周囲の様子なんてお構いなしに怒鳴り散らす。もうすぐモンスターが現れるというのに迷惑なやつだ。


「お前は誰だ?」


「な、なんだと……!? 俺様を知らない……!? そんな筈ないだろ……。さては俺様をイラつかせる作戦だな。その手は通用しないぞ!!」


 地団駄を踏んで怒っている。


「知らないものは知らない」


「そんな筈はないだろ……!! 俺はレベルランキング一位の虹丸だぞ……!!」


 虹丸。確かにランキングで見たことがある。こんなラメラメの男だったのか……。


「勝負しろ……!!」


「そんな暇はない。わかるだろ?」


「逃げるのか! やはり与ダメランキングは嘘だったんだな。あんな高ダメージが出る筈ないんだ……!! この詐欺師が……!!」


 こいつ、ムカつくな。拳に力が入る。やるか。


「ちょっと二人とも。もうすぐモンスターが出現するのよ! 喧嘩なんてしてないで、倒したモンスターの数で勝負しなさい!!」


 ちょ、四辻。勝手なことを。


「いいだろう! 俺が勝ったら"虹丸様と勝負して負けました"ってTwittorに投稿してもらうからな……!!」


「成金マンは負けないから! ねっ?」


 四辻が期待に満ちた瞳をこちらに向ける。とても断れない。


 しかし、このままでは勝負に勝っても俺には何もメリットがないのも事実。ならば──。


「いいだろう。ただし、俺が買ったらお前がしている腕時計をもらうぞ?」


 虹丸はチラリと自分の左手首を見た。そこにはロレッタスの人気モデル、デイトナが輝いていた。

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