ランキング
この話で一旦区切りです!!
繭を破り、その中に眠る人々を起こしていると、すっかり夜になってしまった。
幸いな事に死者はいない。ただ、俺達が来る前にどれだけの人が大蜘蛛に食われてしまっていたのかは分からないが……。
「そういえば、リカのステータス確認してないね」
学校を後にし、トボトボと歩きながら四辻が言う。疲れているようだ。
「ステータス……? 何ですか、それは?」
そうか。ずっと眠らされていたからニュースも見てないのか。
「ステータスって言ってから左の掌を見て」
四辻に促され、リカが掌を凝視する。気になって覗き込むが、俺には何も見えない。本人だけに見える仕様らしい。
「茜さん……! レベルとかスキルとかあります!」
街灯が照らすリカは興奮して鼻息が荒い。
「そうなの。ゲームみたいでしょ? リカはどんなスキルをもらったの?」
「えっと……それは……」
「なによー。私にだけ教えて!」
散々迷って挙句、リカは四辻に耳打ちした。
「やっば!」
四辻のリアクション! 気になるだろ!!
「と、ところで、ステータス画面でハンドルネームを設定出来るみたいですよ!」
「あぁ、それね。私も気になってるけどまだ設定してない」
「そういえば、俺もしてないな」
「これを設定すると何かあるかもしれませんね!」
リカが強引に話題を変え始めた。そんなに自分のスキルを知られたくないのか……。
「うーん、私はシンプルに【茜】でいいかな」
そう言いながら、四辻が掌を弄る。
「あ、単純に名前を入力すると"そのハンドルネームは既に登録されています"って言われちゃいますね。【リカリカ】だといけました」
「本当だー。先に登録されちゃってる。【茜1212】だといけた」
「【成金マン】は大丈夫だったぞ。そのまま登録できた」
「当たり前でしょ! そんなダサいハンドルネーム使わない──」
「ランキングが見えます!!」
リカの声が夜道に響いた。
「ランキング? そんな項目、ステータスにないけど」
「ハンドルネームを長押ししてください! 色んなランキングがハンドルネームで表示されます!!」
「そんなこと──」
あった!
■レベルランキング(日本)
1.虹丸(レベル253)
2.トシロー(レベル105)
3.稲田先生(レベル101)
4.G1028654(レベル99)
5.G1024525(レベル98)
6.……
7.……
おお。凄いな。トップの虹丸はレベル253だ。俺なんてまだ18なのに。何かレベルアップに関係するスキルを持っているのかもしれない。
その下の奴らも凄い。強力なスキルで一日中モンスターを狩っていたんだろうな。
「成金マン! ランキングのってるよ!?」
「えっ? のってないけど」
レベルランキングは百位まで掲載されているが、俺の名前は当然ない。
「横にスワイプしたらランキングが切り替わるから!」
スマホみたいな感じか? 人差し指の腹を滑らせる。すると──。
■与ダメージランキング(日本)
1.成金マン(81590000)
2.虹丸(95232)
3.ヘルゲイト(53264)
4.稲田先生(23245)
5.トシロー(18543)
6.……
7.……
「与ダメランキング1位……!?」
「ダントツじゃん! 成金マン!!」
「成金マンさん、凄いです!!」
俺以外は大体、レベルランキング上位者だ。ヘルゲイトに妙な親近感が湧く。
「ねぇ! 成金マン! 連絡先教えてよ!」
四辻がスマホを突き出してくる。
「い、いや。色々とバレたくないし……」
「じゃー、Twittorとかの捨て垢でもいいよ。何かあった時に連絡するから! 多分近所に住んでるでしょ!? お願い!!」
うん……。可愛い女子高生に連絡先をねだられている。たとえ火遊び好きの危ない奴だとしても、嬉しい。
「ちょっと待って。成金マンのアカウント作るから」
「あの……! 私もいいですか!? 成金マンさんとお友達になりたいです!!」
パジャマ姿のリカにもお願いされる。これは……現実なのか……!? お金払ってないのにこんなにチヤホヤされるなんて……。
「し、仕方ないなぁ〜」
フルフェイスの下で俺の顔は緩みっぱなしだった。
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