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結。地獄の沙汰


サル:なんだかんだで人情に弱い閻魔様なんで予測はできてたっすけど……


サル:いいんすか?


閻魔様:いいも何もそういう企画なんだろう?


オノ:はい、閻魔様のご随意に。閻魔様ならそう言うと思っていました


閻魔様:しかし、流石に無罪放免とはいかんか


閻魔様:いっそここで働かせるか? 


サル:おー、それはいいっすね! 最近人減りすぎて俺も暇っすから


武蔵:なに勝手に話進めてんだお前ら!


田中:すごく自然な感じだったので突っ込むタイミングもありませんでした……


閻魔様:別段お前らにとって困る話でもあるまい、ここで働きながら目的とやらを存分に果たしてくれ


琴乃:私は……


閻魔様:不服か? 過ぎた自罰は好ましくないな


閻魔様:そも、これは最終判決。お前らに拒否権はない


武蔵:これこそ職権乱用だろ


サル:職権乱用……? おい亡者、この方をどなたと心得える!?


田中:あ、またそれするんですね


サル:そこにおられるは、言わずと知れた閻魔様! 三千世界の番人、冥界の主宰者……


サル:地獄の沙汰も彼次第!


閻魔様:そうだとも、やはり地獄の沙汰はAIなんぞに任せられんな!


閻魔様:どうだ、琴乃。やはり嫌か?


琴乃:いえ……なんだか嬉しいです。私、頑張ります


琴乃:でも、働くっていうのどんな風に……?


閻魔様:言葉通りの意味だ、地獄行きを免除とする代わりにここで発生する業務をこなしてもらう


田中:琴乃さんも受け入れたとなっては、僕が拒否するのも無粋ですね。お力になれるか分かりませんが


武蔵:お前らの意のままになってるみたいで何か気に入らねェ!


サル:武蔵くんは俺が世話するっすよ〜、地獄の管理は退屈しないっすよ?


武蔵:お前とか鬼共とかと戦えんの?


サル:そりゃもう存分に


武蔵:ならまぁいいか


サル:……チョロいっす


武蔵:今やるか?


オノ:では琴乃さんは私が引き受けましょう。主にマネジメント業務に携わってもらいます


琴乃:まねじめんと……頑張ります……!


オノ:若いうちに仕込んでゆくゆくは……ふふ……


琴乃:……わたし大丈夫でしょうか


閻魔様:ふむ、田中は儂だな。お前らのような手違いで地獄に行ったものがいないか、まずは洗いざらい調べるぞ


閻魔様:随分忙しくなる、死なん程度に励め


田中:ははっ、微力ながら尽力いたします


オノ:さて、一段落つきましたね。最後は視聴者に()()をして終わりとしますか


サル:結局この放送ってどれくらいの人が見てるんすか?


オノ:過去に類を見ないほどの尋常じゃない視聴率です、SNSでもこの放送の話題で持ち切りですね


オノ:まぁ裁判を生配信するなんて正気の沙汰ではないですしね、地獄の沙汰だけに


閻魔様:それにしてもよくこんな企画を上が許してくれたな? 説得には骨が折れたろう


武蔵:誰か触れてやれよ


オノ:いえ、許しなど貰ってませんが


閻魔様:うん?


オノ:此度の催しを企画、決行したのは全て私の独断です


閻魔様:お前さっき今朝の会議で決まったって……


オノ:敵を欺くには味方からと言うでしょう?


閻魔様:どういう、いやそもそも敵って──


サル:な、なんか外が騒がしいっすよ!


オノ:おや、随分遅い到着で。お偉いさん方が焦り果てて遣いを寄越したようです


武蔵:さっそく揉め事かァ!?


田中:なんで嬉しそうなんですか……


琴乃:わわっ、入ってきそう……


サル:よく分かんないっすけど、とりあえず俺足止めしときますよ!


武蔵:俺も行く!


閻魔様:オノ、何が目的でこんなことをっ?


オノ:舞台も大詰め、仕上げに入りましょうか


オノ:視聴者の皆さん、顔を真っ青にしたお偉いさん方、見てますか?


オノ:現場の現状は今お伝えした通りです。あなた方がコンプライアンスだのプライバシーだの叫んでいる間に、不当に地獄行きを宣告される亡者が後をたちません


オノ:願わくば、この放送をきっかけに何かが変わらんことを


閻魔様:元よりそれが目的だったか、オノ


オノ:出過ぎた真似を


閻魔様:許す! どちらにせよ、この後に上へ掛け合うつもりだった。手間が省けたぞ


田中:ああぁ、バリケードが突破されました! 入ってきますよ!


武蔵:サルが寝返りやがったッ!


閻魔様:……しかし、つくづく忙しくなりそうだ


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