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転。常世の是非


サル:えーと、結局三人とも地獄行きを希望しちゃってんすけど。これ視聴者は楽しんでんすか?


オノ:大盛り上がりですね


サル:そっすか……


田中:僕は琴乃さんの「母に許されたいから」という理由が不純とは思えません


田中:琴乃さんだけでも天国に行くべきです


琴乃:それを言うなら田中さんだってそうです! 悪いこともしてないのに地獄に行く理由なんてないです


武蔵:そもそもの元凶はなんちゃら閻魔とかいうポンコツのせいだろ? さっさと使うのやめろよ、本物の閻魔様よぉ


閻魔様:ぬぅ……


閻魔様:儂としても、この事態に何も思うところがない訳ではない……


閻魔様:しかしだな、そもネオ・閻魔の導入は世論に後押しされた結果なのだ


閻魔様:儂も常々より反対の意を示しているが、時流には逆らえん……


サル:世知辛い世の中っす


武蔵:使えねェ!


武蔵:てかよォ、天国? に行ったとして、そもそも琴乃ちゃんはママと会えんのかよ?


オノ:琴乃さんのお母様が天国に行っていれば、会えますね


武蔵:……ずいぶん簡単に言うんだなァ


琴乃:母はっ、天国に行ってるんですか? こちらで確認していただくことは出来ないんですか?


琴乃:せめて、それだけでも知りたいです……


武蔵:コイツら、守秘義務とか言って教えてくんねぇぜ


武蔵:だろ?  


オノ:はい。我々の立場上お答えできかねます


琴乃:そう、なんですね……


田中:武蔵さんは何で教えてくれないって知ってるんですか?


武蔵:あ? あー……


琴乃:……あの、わたし武蔵さんのことについても知りたいです


琴乃:天国に行きたい理由とか……私には武蔵さんがそんなに悪い人に思えなくて……


武蔵:……別にお前と同じ理由だよ。昔、勝ち逃げされたことがあんだ。復讐する前にそいつはくたばっちまった


武蔵:口は達者な奴だったからな、まかり間違って天国に行ってたらいけねぇ


武蔵:もう一回会ってぶん殴るまで死んでも死にきれねぇんだ


田中:ぶ、物騒ですね


武蔵:お前は?


田中:はい?


武蔵:言ってねぇの、あとお前だけだぞ


田中:あぁ、天国に行きたい理由ですか


田中:僕には琴乃さんのように純粋な思いも、武蔵さんのような強い思いもありません


田中:訳も分からないまま地獄行きを宣告されて、混乱してるさなかに差し出された手を夢中で握ってここに来ただけです


田中:つくづく中途半端ですよね。皆さんのように大した理由なんてないんですよ


武蔵:それでいんじゃねーの?


田中:え?


武蔵:そんなもんだろ


少しの間沈黙が流れる。


田中:ははっ、そんなもんでいいんでしょうか?


琴乃:そうです、そんなもんですよ!


田中:……今まで、考えすぎてたのかもしれません。皆さんのおかげで気が楽になりました


サル:なんかいい空気っすね〜


オノ:これから人気投票やコメント返しのコーナーを予定してたんですが、この雰囲気だと蛇足のようですね


武蔵:雰囲気に関わらず、んな事しねぇよ


オノ:いい頃合いのようですので、そろそろ最終判決と行きましょうか


サル:大トリっす!


閻魔様:そうだな


閻魔様:しかしあれだな。閻魔帳を見ていて思ったが、武蔵、お前人を守って死んだそうじゃないか


閻魔様:チンピラ然とした風貌が目を引くが、話を聞けばなかなか筋が通った男よ。天晴れなるぞ


武蔵:おい、なに人の死に様をいきなりバラしてんだよ


閻魔様:こうでもしないとお前は自分から言わんだろう?


武蔵:言う必要がねぇんだよ


閻魔様:いや、あるぞ。此度の裁判を擬似的に傍聴してる視聴者とやらを納得させるためだ


武蔵:何が言いてぇ!


閻魔様:堅苦しい前置きはやめて言ってしまおう


閻魔様:お前たちの地獄行きを免除とする!


武蔵:あ?


琴乃:え?


田中:……どういうことですか?


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