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ずっと、夢を見ていた。
――花乃
いつか迎えに来てくれる。
――花乃、おいで
私を必要としてくれる誰かが。
みんな、私なんて存在しないかのように、遠くへ行ってしまう。
ひとり立ち止まり、私は俯く。
振り返ると、誰かが手を差し出している。
優しい声で、名前を呼ぶ。
――花乃、オレの元においで
その手をとると、誰かが微笑む。
白馬の王子様なんかじゃなくていい。
私を見てくれるなら、必要としてくれるなら、何でもいい。
誰か、
いつか、
きっと迎えに来てくれる
と、
叶うはずもない夢を、幼い頃からずっと見ていた。