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悪魔と蕾  作者: 佐竹蜜
1/6

1-1

ずっと、夢を見ていた。


 ――花乃かの


いつか迎えに来てくれる。


 ――花乃、おいで


私を必要としてくれる誰かが。



みんな、私なんて存在しないかのように、遠くへ行ってしまう。

ひとり立ち止まり、私は俯く。


振り返ると、誰かが手を差し出している。

優しい声で、名前を呼ぶ。


 ――花乃、オレの元においで


その手をとると、誰かが微笑む。


白馬の王子様なんかじゃなくていい。

私を見てくれるなら、必要としてくれるなら、何でもいい。


誰か、

いつか、

きっと迎えに来てくれる


と、


叶うはずもない夢を、幼い頃からずっと見ていた。


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