終焉を壊して
この先に未来はないのだとあなたは言った
ただ虚無だけが広がる表情で
荒凉とした大地に吹く風に髪をなびかせ
厚い雲の下 薄暗くかすむ地平線を指差して
真新しい学校の制服が
若々しいすんなりと伸びた手足に良く似合って
けれど全てを諦めたその瞳にはなんの感情もなく
……。
…………。
………………。
ほんのひと握りの誰かのために世界はある
君はその事実を受け入れている
怒りも悔しさも悲しみもなく
けれど
この渇ききった空の下
どこかで泣いている子どもの声を聞くとき
この貧しい道のむこう
刹那の幸福に生きる価値を探し
絶望から目をそらして群れなす人の流れを見るとき
ほんの少し 君の唇が動く
この終焉を受け取るべきは誰なのかと
『わたしではない
あなたではない
泣いているあの子でもない……』
終焉の影の中
この先に未来はないとあなたは言った
美しい夢を見ながら未来の全てを諦めて
ひと握りに入っていないわたし達に未来はないと
こんな世界に生きる価値はないと
こんな世界に生まれてくる必要などないと
だからわたしは、終焉をつくる影を壊そう
ひと握りにしか未来が存在しない世界に終わりの鐘を
愛も思いやりも正義も優しさも
人の心の良きもの柔らかきもの全てを捨てて
ただ淡々と繰り返し終焉を壊す
そして世界に光が差し込めば
あなたは笑うだろうか
その腕の中に未来の生命を抱いて
そのときわたしはきっと影をつくりだしている
ひと握りの誰かの諦めの上に
終焉を壊して