放火
「マオ! なんなの? あのアズミって女は! 私のダイチくんにベタベタベタベタ……頭にくる!」
マリサの声がする。
「そうだね。マリサ。あの女ムカつくよね。」
これは、マオの夢の中。ダイチの恋人であるマリサが殺された時に、マオが咄嗟にマオの作った世界にマリサの精神を閉じ込めた。その世界は、マオの夢の中と繋がってて、寝た時に話ができる。
「あと、ダイチくんニヤニヤしすぎだよね。」
「うん。そうだよね。本当ムカつくよね。ミナトに、もっとやられてたらよかったのに」
「そうだねよ! ミナト様、私たちの怒りをぶつけてくれてありがとー。って思ったよー。」
そんな感じでマリサと一緒にダイチとアズミへの愚痴大会をしていた。なんだかスッキリした。
そして、朝になった。
夢の中でいっぱい喋ってスッキリしたことだし、今日は北の大陸に連れていってくれる船乗りを探そう!
そして、朝食の為に昨日のみなと寿司に行った。
まだ仕込み中だったけど、お味噌汁と米を出してくれた。
この味噌というものが何なのか何度もダイチに聞いたが結局よくわからなかった。腐ってるけど腐ってない。わけがわからなかった。でも、味は凄く美味しかった。また、魚のアラというものも味噌汁入れてくれた。お寿司に使えない部分らしい。本当に美味しかった。
そして、船着き場に行ってみて船乗りに色々と聞いてみたが、北に行く人は誰一人いなかった。みんなこぞって、東のヒルコ大陸に向かうらしい。どうやら、西の民が行き来しているらしい。せっかくここまで来たのに北に行けないなんて……どうしよう。
そんなことを考えてなかった。いた時、炎が見えた。ミナトの祠の方だ。風が強く吹いている。このままでは民家に火が……そして逃げる人の波でなかなか祠に近づけない。こんな時、魔法が使えたら……
「マオ! 僕を投げてくれ! あの火の柱に!」
ダイチの声が聞こえた。マオは、言われた通りダイチを投げる。
『明鏡止水!』
ダイチの身体が水になった。そして、そのまま広がった。そして、炎に覆い被さる。
火は無事に消えた。
ダイチ……いつの間にこんな高度な使い方を……ますます鍛えるのが楽しみになってきた。
周りからは歓喜の声があがる。
「「「ヒトミ様が異教徒を使い、この町を火事から守ってくれたぞ!!!うおおおおお!!」」」
何故か、ヒトミ様が助けたことになっているけど。どうして?
なんとか、ダイチと合流はした。
ダイチは、異教徒の英雄としてみんなに囲まれている。
「是非ともヒトミ教に入信を!」
「異教徒の方! あなたが入信すればきっとヒトミ様がお喜びなる!」
いや、勧誘の声だった……
そして、肝心の放火魔は町長だった。
「ぐははは!! みんな!! これでようやくこの町から忌まわしいミナト信仰を無くし健全なヒトミ教の町にすることができるぜー!! ちょっと大惨事になってしまったがな……」
「いや、町長は悪くないですよ。ヒトミ教の発展の為なら仕方ない! 全部異教のミナト信仰が悪い!」
この町、どうかしている。




