初めての気持ち
「元気剣!」
アツシの剣から物凄いエネルギーの白い光線が放たれた。
「うぉー!!かぅっっこいいー!!そういえば、マオも光線出せるよ。(存在忘れてた)」
と、言ってマオの手のひらからアツシの光線に向かってピンクの光線が放たれた。
二つの光線は拮抗している。力はほぼ互角。しかし、体力を考えるとアツシが不利になる。
「すごく楽しいな。君ならマオの旦那さんになってもいいよー!!」
と、マオがアツシに叫ぶ。
アツシは、その言葉を聞いた途端にバーサーカーモード(攻撃力が上がるが防御力が下がる)になった。
アツシの野性的な欲望が光線の威力を挙げる。
「あぁぁぁー!」
と、アツシが叫ぶとピンクの光線を押し退けて白い光線がマオを包んだ。
その後、魔王の部屋は白い光に包まれた。
光収まった頃、魔王の部屋の中の者は全員倒れていた。
マオは、アツシの光線を食らって倒れている。
アツシの仲間は、アツシの元気剣から元気を奪われて倒れている。
アツシは、最後の力を振り絞って倒れている。
暫く経ち、マオが立ち上がった!
ほぼ、体力が残って居ないが最後の力を振り絞った。
そして、ムラタの名刺を取り出した
「ムラター。聞こえてるー?」
「はい。マオ様。どうでしたか?無事に勝てましたか?」
「あっ。うん。なんとか勝てた。なんか、こんな楽しい闘いは初めてだった。」
「マオ様が満足そうで良かったです。」
「それでね、人間達を全回復させて魔王城の入り口まで運んであげて欲しいの。もっと強くなって、またマオに挑んで来てくれたら嬉しいな。」
「はい、かしこました。」
そういった会話をした後、魔王軍数人がやってきて人間達を運び出した。
すると、アツシが起き上がり
「ぉっ…おれは…まだ…まけていないっ!!!
魔王!お前を絶対に倒す!まだ勝てる…っっ…」
と、言ってアツシが暴れだした。
マオは生まれて初めて胸がキュンとなった。今まで闘った相手は自分との力の差を知ると直ぐに諦めていた。こんなにも、執念深く…また鍛えて再戦してくれるに違いない。そう感じていた。
次の瞬間魔王軍が
「黙れ!人間!マオ様に勝てる?人間ごときが調子に乗るなよ!」
と言い、グサッとアツシの腹を抉った。
「おまえら、何してるんだよ…回復させて魔王城の入り口まで運べと言ったよ…おい聞いてるの…?」
しかし、マオの言葉は虚しくも届かない。意識が朦朧としてきた。
身体に力が残っていない。マオは、魔王軍を止めようとするも、どんどんと意識が薄れていく。
「こいつらも、処分だな。マオ様の脅威となり得る人間は早く芽を摘んでおかないと。」
そのまま、残り三人の人間も運ばれていった…
マオは泣いた。絶望した。
そのまま、意識が途絶えた。
第一章完