魔王の憂鬱
あの闘いの後、マオは魔王となった。しかし、それ以降マオに闘いを挑む者が現れないまま数年が過ぎた。
「退屈だ……」
誰もマオに勝てないと思っている。
それが悲しかった。魔王になれば強い魔族と闘えると思っていた。しかし、一度負けた者は二度と挑んできてくれない。嘗ての魔王であるゴルオンですら、完全に丸くなってしまった。
それが魔族の性分だ。
また、内政についても全て魔王の仕事だが、全てムラタに任せっきりでいたので暇だった。
「はやく人間がマオに挑んできてくれないかな……」
そんな独り言を漏らしていた。それもそうだ。今や、北の祠が新設されてそこをゴルオンが守っている。
つまりゴルオンよりも強い人間しかやってこないということだ。人間が魔王の部屋までやってくることなんて絶望的にない。毎日毎日暇をもて余していた。
そんな時に、ムラタからある報告があった。
「マオ様、聞こえますか? 」
「ムラタ、どうしたの? 」
「いま、ゴルオン様が人間どもにやられました。前代未聞の緊急事態です」
「えっ? 本当?それは楽しみー! 久しぶりに闘えるー!!!」
「何マオ様は楽しんでいらっしゃるのですか?ピンチなのですよ。もう少し魔王という地位を自覚してください」
「あははは。ムラタは、マオが負けると思ってるの?」
「それは無いと思ってますよ」
「じゃあいいじゃん。ゴルオンよりも強い人間。たのしみだなぁ」
「マオ様……呆れて何も言えません。とほほ」
そんな話をムラタとしていると、人間達が魔王の部屋に入ってきた
「はーい! 人間達!お待たせ! マオだよ! 」
「……」
一同が沈黙した。
人間達は、4人のパーティーだ。
「えっと、4人がかりでマオに挑んで来るのかな?マオ、一対一の戦闘しかしたことないけどいいよ。最後に止めを刺した人のお嫁さんになる。」
「ちょっと男子っ!! 何顔を赤らめてるのよ?真面目にやりなさい! 」
「かっ…顔なんて赤らめてねぇし/////それに、魔王は殺すつもりだ!人間と魔族の夫婦なんてありえない////」
「そうだぜ! タカシの言うとおりだぜ!俺らは魔王を殺しに来たんだ! みとれてなんてないぞ。」
「それならいいけど……。みとれてたら、タダじゃすまないんだからね」
と、人間達が痴話喧嘩を始め出した。
「とりあえず、自己紹介しよう。ここで会ったのも何かの縁だし。マオだよ。魔族の王をやってまーす。ここで、マオに勝ってマオの旦那さんになってくれる人を待ってるの。みんなは、どんな人?」
「魔王なんかに自己紹介するかっ!! 何で馴れ合わないといけないんだ! 」
「じゃあ、この全回復装置使わせてあげるから。ゴルオンとの闘いでボロボロでしょ?お願い。」
「仕方ないな。俺は、剣士のアツシだ! 」
「まあ、そういうことなら。わたしは、白魔法師のカオリよ」
「僕は、魔道師のタカシさ」
「わたしは、盗賊のスイレン」
「ありがとう。みんな。みんなの顔と名前を覚えたよ。さあさあ。回復装置使って」
チャラチャラチャッチャチャー
と、気の抜けたような音が鳴り響く。
人間達パーティーが全回復した。
「さてと、それではマオと闘おっか! 」
「いいぜ!魔王!回復させたことを後悔させてやる! 」
少しずつ書きたいことが書けてきてる。