ミスズの試練
「つまり、マオ様はこのヒョロガリの人間にたぶらかされて、ついていってると……?」
いやいや、かなり脚色されてない?それにマオ様って……マオはかなり尊敬されている……!?
「あの、マオってもしかして魔族の中では凄い有名人なの?」
「貴様! 知らないのか? このお方……マオ様は――」
「あー!!ミスズそれはまだ秘密にしてるかは喋らないで!ダイチ!絶対にいつか言うから今は聞かないで!」
「わかったよ。」
「マオ様がそう言うのであれば、私も言わないでおきます。」
「アネゴって魔物で、更に有名人なんすねー!すげーです!アネゴー!マジリスペクトっす!」
グチさんにバレたけど意外と大丈夫そうだ。
「さて、話を戻しましょう。私と、そこの人間はこの川を汚している人間を倒すという共通の敵が居る。不本意ながら、共闘関係をとらせてもらう。」
「ありがとうございます。」
「ミスズー。『人間』じゃなくて『ダイチ』だよ。ちゃんと名前で言って。」
「かしこまりました。マオ様。しかし、まずはダイチ!お前が本当に信用できる人間かどうか確かめさせてもらうぞ!」
そう言って、ミスズは龍の姿になり僕の口目掛けてやって来た。
そして、僕の口の中からズブズブと入っていった。
「ん"ん"ー!!」
僕はもがいた。そして、全て入った頃には僕の意識は朦朧としていた。
ここはどこだ……? 真っ白い空間の中にいる。
目の前には、父親と母親……?がいる。
「ダイチ、今夜はシチューだよ。」
いつの間にか、回りが僕の実家? になっていた。
「よかったなー。ダイチ。ママのシチュー好きだもんな。」
これは、何だ?僕の記憶?
<カンカンカンカン!!!逃げろー!!逃げろー!!>
「なっ……何が起こったんだ!? ダイチ、父さんと母さんは少し様子を見てくるから隠れてなさい!」
僕は隠れた。
<ガチャッ!!>
「まだ人が居たのか……おめぇ達……さっさと殺せ!」
誰かが命令している。中性的な声だ。男か女かわからない。何か聞き覚えがある声のような……思い出せない。怖くて姿も見ることができない。
「グハッ!!」
<プシャー!!!>
血の吹き出る音だ。
「ふふふふ。はははは。さてと、金目のものはどこかな……<ガサガサ>……これっぽっちか。まあいいや。回収しよう。さてと、まだ入ってない家は……と。」
やばい。こいつはやばい。僕は一歩も動けなかった。
「なんか、もう一人隠れてそうだね……って、えっ?もうS級のやつら来たのか?今日は収穫少なかったけどここらで引き上げよう。じゃあ、おめぇら、後は頼んだぞ。適当にS級と遊んでおいて。全滅してもいいからね。」
そして、直後に表れた冒険者に僕は救われた。
凄く怖かった。そして、憎く思った。僕の中の憎悪という感情が無理矢理表に引っ張り出される。そんな気分だった。
『ニクメ……ニクメ……マモノ ヲ ニクメ……』
そんな言葉が頭の中に直接響き渡り反芻する。




