それでも生きていく
僕は、暫く放心状態だった。
僕のせいで…僕があの時にマリサさんを止めていたら…僕がもっと強くてSランクになっていたら…
そんな卑屈なことを考えていた。
僕の両親は、赤目の獣人に殺されたとリョウコママから聞いていたが、記憶は殆んどなくあまり恨みを持っていなかった。しかし、今回マリサさんを殺されたことにより僕の中に恨みという感情も芽生えた。
「そういえば、マリサさんの遺体は?」
僕は、ふと思った。
「エリコっ!」
女神様が、一人の冒険者名前を呼んだ。
「はいっ。」
エリコと呼ばれる冒険者は、冒険者の袋と似た別の袋を取り出しその中からマリサさんを取り出してくれた。
「マリサさんっ!!」
僕はマリサさんの死体の前で泣いた。無惨な姿になってしまったマリサさん。手足もボロボロで胸に穴が空いている。顔も少し焼け焦げているが、マリサさんだとはっきりと分かる。胸が苦しい。張り裂けそう。僕はわんわん泣いた。
「私ね、マリサとよく一緒にペアを組んでいたりしてたんだよ。私も悲しいよ…」
エリコさんも一緒に泣いた。
そのまま暫く泣いている冒険者も居て、一緒に泣いていた。マオも泣いて…
その後、歩きながら道中マリサさんの話を色々聞いた。凄く強くて、今魔道師の中では一番の実力者であること。また、面倒見が良くみんなから好かれていたこと。露出狂かどうかはさすがに聞けなかった。
また、僕もマリサさんとの出会いや鍛えてもらったことを話した。
「それ、絶対マリサの作戦だよ。マリサは最初からダイチくんに惚れさせるつもりだったんだよ」
エリコがそんな冗談めいたことを話している。
「マオもそう思うよー。でも、マオはマリサ好き。だから、マリサとダイチが付き合うことになって凄く嬉しかったよ」
マオはそんなことを言っていた。
支部に帰ると、みんなお祭りムードだった。僕の勝利に活気付いていた。そこに、悲しい一報を知らせる。急に湿っぽくなった。そして、ジルバさんやリョウコママ。そして、孤児院のみんなが慰めてくれるが、僕は何も頭に入ってこなかった。
マリサさんの遺体は、冒険者ギルドの本部にある「英霊の墓」に保管されるらしい。とても名誉なことらしいが、僕はマリサさんの遺体と離れるのは何か嫌だった。
その夜、マリサさんの家で寝ることになった。
夕食は、リョウコさんから貰ったお金がまだ少し余っていた。
そして、孤児院でシローさんに教わった料理を振る舞った。
「すごーい!ダイチもお料理上手なんだね!」
マオがローストビーフを食べながら誉めてくれた。もう、マリサさんは居ない。それでも生きていかなければならない。そう考えると、料理もできた。
「マオ、そういえば死者を生き返らす魔法ってないの?」
「ないよー。マオも昔好きになった人が死んで…それで…色々と調べたの。でも、何もわからなかった。生き返らせる方法あるなら、マオも知りたいよ」
マオが涙ぐんでいる。
「ごめん。嫌な事思い出させちゃって。」
「いいの。今はダイチの方が辛いんだから。」
「…」
僕は何も言葉がでなかった。
今日はそのまま寝た。
今日の話は今までで一番難しかったです。
大切な人が死んだ時の感情の表現やどう立ち直るのか。本当に難しいです。
また、お話の節目です。この話で今後の話が大幅に変わってしまいます。とても慎重に書きました。節目の話はもう少し続きます。




