魔王軍へのスカウト
「わたくし、ムラタと申します。以後、お見知りおきを。」
と、ムラタと名乗る男がマオに話しかけてきた。
「えっ? 何? マオと決闘したいの?オ ジサン明らかに弱そうだしマオに勝てるかな?」
「いえいえ、決闘なんて滅相もございません。わたくしは、マオ殿を魔王軍に引き入れたいとスカウトに参りました」
「マオーグン? 何それ? マオのファン倶楽部? 」
実は、天はマオに美貌と武力を与えたが、その代償として頭が凄く悪い。魔族であれば魔王軍を知らない者は居ない。そして、全魔族の憧れの対象であるがマオはそのことを知らない。
「人間から我々魔族を守る軍隊が魔王軍でございます。そこに、マオ殿も仲間に加わっていただきたく……」
「難しいことはよくわからないや。そこには、強い男は居るの? 」
「勿論居ますよ。魔族の中でも腕に自信のある者から構成されていますから」
「闘わせて! 」
「えっ? 闘いたいのですか?しかし……」
「闘えないのなら、ざんねん…。じゃあね。バイバイ……」
「ちょっと待ってくださいマオ殿! 今、問い合わせてみます」
「問い合わせるって……闘えるの? そらなら待ってる! 」
そういって、ムラタはポケットから何やら紙切れを取り出した。話し始めた。
「先ほど話していたマオ殿ですが、なんというか我が軍の者と闘わせてくれないと仲間には入らないと申しておりまして
ええ…。はい…。えっ!本当によろしいのですか?
はいっ。かしこまりました。先方に伝えます」
「ムラタ、急に独り言話してどうしたの? 」
「あっ。これですか?これは、テレパシーというものですよ。遠くの者とお話ができるのですよ。」
「てれ……ぱしー……? 」
『はい。このように、マオ殿の脳内に話しかけることもできます』
「えっ? 脳内に何かきたー。ムラタすごいね! 何これ!? マオも使いたい!」
「しかし、これは相手の位置が正確にわかっていないと使えないという欠点がありまして、いつもわたくしの名刺を渡して位置を確認しています」
「どういうこと? 」
「つまり、マオ殿はこのわたくしの名刺に話しかけるだけで、いつでもどこでもわたくしと会話が出来ます。これ、差し上げますね」
魔王軍情報伝達係:ムラタと書いた紙切れを渡された。
「ありがとー。ムラター」
「話しは脱線しましたが、マオ殿の決闘についてですが、明後日なら大丈夫ですです。魔王軍の4帝の一人が相手をしてくださるそうです」
「それって強いの? 」
「物凄く強いです。魔王様の部屋に入る為の東の鍵を守っている魔族です。当日はお迎えに参ります。楽しみにしていてください」
「わかったー。ありがとー」
「では、わたくしはこれにて失礼致します」
そういって、ムラタはどこかに去っていった。