魔族の少女
「君、大丈夫?どうしたの?」
僕は声をかけた。
「おなかすいた…もううごけない…」
どうやら、お腹が空いて動けないようだ。相手は、魔族だったが僕は迷うことなく助けようと思った。
ちょうど、リョウコママから貰った非常食があった。
「これは?」
「食べ物だよ。おいしいよ。どうぞ食べて」
「いいのっ?」
ぱくっ!
「人間の食べ物。マオ、初めて食べたけど、おいしいっ!」
「マオって名前なんだね。どうしたの?どうしてこんな所にいるの?」
そう言って、マオの頭を撫でた。
すると、
「おい!そこに居るのは、女神様の洗礼をすっぽかしたダイチじゃねぇか!」
「あっ。本当だー」
ゴーダとスネスだ。
「おー!ゴーダとスネス。ちょっと、これには事情があってさ」
「ジルバさんが、一年後の新入隊員が入ってくる時にダイチも洗礼を受けれるようにしてくれたみたいだぜ」
「あー。それはよかった」
「ん?そこに居るのは魔族か?」
「そうだよ!ちょうどお腹が減っていたみたいで、僕の食糧を分け与えたところなんだ」
「はっ?魔族だろ?こっちに寄越せよ。ダイチ!」
「ちょっと待って、ゴーダ。この魔族上物だよ!パパに持っていったら高く売れるよ」
「確か、お前のパパって魔族の奴隷商人だったっけ?」
「そうだよ。僕は、パパの仕事のお手伝いをするために、冒険者になったんだ。つまり、上物の魔物を捕獲するために」
「いいねー!それ!おい!ダイチ寄越せよ」
こいつら、何言ってんだ?と、僕は思った。次の瞬間、ゴーダが物凄いスピードで走ってきた。
「ははは。ダイチはこのスピードについて来れないだろうな。女神様の洗礼を受けていないから」
と言い、突進された。
そのまま僕は吹っ飛んだ。
「こいつ、まじで可愛いよ!スネス、売る前に俺らでちょっと遊ばせて貰おうぜ!」
「そうだね。楽しみだね」
「返せよ!お前ら!マオをそんなことに使うんじゃねぇよ!」
「はっ!?これ、敵だぞ?敵を擁護してどうする?お前頭でも狂ったか?」
「そうだぞ。ダイチ、お前は大人しく僕達にこの魔族を受け渡した。報酬の一割あげるよ。おいしい話だろ?」
「ふ ざ け る な !
魔族でも、人でもそんな酷いことはさせない!」
僕は、ゴーダに飛びかかった。
「ダイチのクセに生意気だ!」
そのまま、ゴーダの拳が僕の顔にめり込んだ。視界が真っ白になる。
意識を強く持つ。そうすると、目の前の景色が見えた。口の中が鉄の味だ。血がいっぱい出ているのだろう。
「返せよ!マオを返せ!」
僕は、そう言うことしかできなかった。
「いいだろう。返してやるよ。ただし、俺を一度でも地面に倒すことが出来たらな。女神様の洗礼がないお前には万に一つもあり得ないと思うけどな。」
「わかった。お前を倒す!」
「わー。みんな、マオの為に闘ってるー」
マオは、そんな呑気な事を呟いていた。
ようやく二人の出会いまで書けた。書き手としてはここまで長かったよ。




