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俺は女子2人と下校する

「けど、この言葉を使うのは今日で終わる、ぜ!」


「どうして?」


「そんなことしなくても友達ができるってわかったからだ、だぜ!」


「あ……」


 永岡さんが特徴的な言葉を使う理由は友達を作りやすくする為だ。


 しかしその言葉を使わなくても友達ができるのなら使う意味はどこにも存在しない。


「あと一つ聞きたいことは、どうして俺に相談しようと思ったの?」


「近くの男子で陰のオーラが漂っていて、話しやすいと思ったからだ、だぜ!」


「つまり俺がインキャに見えたってこと?」


「そうだ、だぜ!」


 どうやら俺は周りからインキャだと思われているらしい。


「宏樹、インキャだと思われてたんだ」


 隣に座っている矢島は笑いながら揶揄ってくる。


「う、うるさい!べ、別にインキャでもいいだろ!」


「別に宏樹がインキャでも私は良いけどねー。そんなことより永岡さん!」


 ''そんなこと''ってひどくないか?


「これから''梨紗''って呼んでも良い?それで私のことは''彩花''って呼んでよ!」


 友達の第一歩。苗字ではなく、名前で呼ぶ。


 普通の人にとって、相手のことを名前で呼ぶことは''些細''なことだが、永岡さんにとっては''重大''なことだ。


「あ、あやか……」


 ぎこちないが、永岡さんにとっては大きな''進歩''だ。


 ''進歩''というより''復活''?よくわからない。


「梨紗!」


 矢島は立ち上がり、永岡さんを椅子から立ち上がらせてハグをした。


 永岡さんは困っているようだが、顔は明るい。


 どうして女子は抱き締めたり、ボディタッチが多いのだろう?


 だか、見ているとほっこりとする。今日も日本は平和だ。


「梨紗、今日いっしょに帰ろうよ!そういえば梨紗ってどこに住んでるの?」


 俺も永岡さんがどこに住んでいるのか知らない。だが近くではないと思う。俺と矢島がいた中学校が一番この高校に近いからだ。


 なぜ俺と矢島の家は近いのに、中学校から知り合ったかというと、俺と矢島が住んでいる町は別だからだ。


 その為、保育園、小学校は別の場所に通い、二つの町で一つの中学校で初めて近くに住んでいることを知った。


「わ、私は西端県に住んでいます……」


 西端県とは第一高校がある県の横にある県だ。


 つまり永岡さんは電車で通っているだろう。ということは駅を使うはずだ。


 ということは途中までは一緒に帰れるということになる。矢島の家は駅にまあまあ近い。


「じゃあ駅まで一緒に帰ろうよ!私、駅の近くに住んでるから!」


 近いと言えば近いが、駅まで行くと矢島の家は通り過ぎでしまうがそこは矢島の心遣いだと思う。


「で、、では、あ、あやかと一緒に帰らせてもらいます……」


 まだ矢島には敬語のようだが、そこら辺はゆっくりと改善していけば良いだろう。


「じゃあ今から帰ろう!宏樹も一緒に帰るよね?」


「ああ」


 ☆


 学校から出た俺たち三人は横に並びながら帰っている。


 校庭ではサッカー部が練習をしており、掛け声が聞こえて来る。太陽は沈みかけ、空は真っ赤に染まっている。


 俺が車道側、その横に永岡さん、そして矢島の順だ。男は紳士として、車道側を歩くのが義務だ。


「永岡さんは何部に入る予定なの?」


「ま、まだ、決めてない、ぜ!」


「へー、そうなんだ梨紗は中学のとき、何部に入っていたの?」


 中学のとき野球部に入っていたら野球部。吹奏楽部に入っていたのなら吹奏楽部に入るのがセオリーだろう。


「わ、私は帰宅部に入っていました……。あ、あやかは何部に入っていたんですか……?」


「私はソフトテニス部だったよ。けど高校は文芸部に入ろうって考えてるよ」


 まだ部活動が決定する時期ではないので''考えてる''といったのだろう。矢島にしては頭が冴えている。


 他愛のない話をしていると、俺の家が目の前に見えてきた。


「暗くなってきてるから駅まで送って行こうか?」


 俺は毎度のこと矢島に確認をする。しかし今回は永岡さんもいる。


「大丈夫だよ。駅はすぐそこだから。じゃあおやすみー」


 今回も断れた。俺がいる方が不安なのかな?


「ああ、わかったよ。永岡さんも、また明日」


「西谷君、また明日だ、だぜ!」


 俺は二人の姿が見えなくなったところで、玄関の扉を開けた。

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