文芸部の部室と初めての相談者
☆を乱用してしまいました。申し訳ないですm(_ _)m
昨日は入学式で授業がなく、今日から授業が始まった。とは言え、初回なのでどの教科もオリエンテーションだけで終わった。
四限終了後、俺は右の席に座っている永岡さんに話しかけた。
「永岡さん。昨日言ってた話したいことって今からでもいいかな?」
「あ、その件ならもう大丈夫です。若月先生に聞いたら適任がいると教えてもらったので。色々とすみません」
昨日の"よろしくな!"は夢だったのだろうかと思わせるような口調で断られた。やはり俺では頼りないのかな。
「クラス委員さん、早速ナンパですか?」
永岡さんと話していると前に座っている創也が、からかってきた。何人かが俺の方を向いた気がする。
「ナンパじゃねーよ。それより食堂行こうぜ」
俺と創也は教室を出て食堂に向かった。
第一高校は購買のようなものはなく、弁当の持ち込みも禁止されており、食堂で昼ごはんを食べるという選択肢しかない。食堂は全校生徒が集まるため広いが、とても騒がしい。
食堂のメニューは日替わり定食A、B、Cと醤油ラーメンしかなく、この学校の欠点でもある。
☆
俺と創也はB定食の生姜焼きにし、椅子に座った。食堂内では暗黙のルールがあるらしく、学年で座る場所が決まっているらしい。生徒はそれに従って座っている。
「てか宏樹、いつの間に永岡さんと話すようなったんだ?」
「昨日、相談したいことがあるって言われたからかな。結局、適任がいるって言われて相談されなかったけど」
「宏樹はクラス委員だけど頼りないからな」
俺は適任が誰だか知りたくなった。若月先生から"適任"と言われるのなら、"お悩み相談"の極意みたいなやつを知っているかもしれない。
「なあ"適任"って誰のことだと思う?」
「やっぱ女子の悩みだから女子だろ。若月先生とか?それか矢島とか?」
やっぱり女子の悩みだったから相談しずらかったのかな?
結局、分からず終いのまま昼休みは終わってしまった。
☆
五、六限目もオリエンテーションで終わり放課後となった。
今日から部活見学の日だが、俺は文芸部となっているので校長室へ向かうことにした。
「宏樹ー、一緒に行こ」
「ちょいまち。今から準備するわ」
俺が鞄に教材をしまっていると創也が話しかけてきた。
「宏樹はどこの部活に入るんだ?」
俺たちが通っている第一高校は文武両道を掲げており、全員部活には所属しなければならない。文芸部に入る前は帰宅部にしようと思っていたが、帰宅部はなかった。
文芸部のことを言うべきではないと考え、とっさに嘘をついた。
「俺はまだ決めてないかな、創也こそ何部に入るんだ?」
「俺はサッカー部かな。けど、時間はたっぷりあるから香夜と色々な部活見てくるよ」
「それじゃあオレと矢島は適当に見てくるから。じゃあまた明日」
「おう!」
☆
「「失礼します」」
昨日とは違い、校長室には窓から赤い日差しが差し込み、暖かな雰囲気を醸し出していた。
「まず、文芸部の部室について話すよ。文芸部の部室は図書室の隣にある図書準備室になったから、そこで"お悩み相談"してね」
俺はまだこの学校の図書室に行ったことがないから、隣と言われてもどこかわからない。
「それと、最初の"お悩み相談"の相手が今、図書準備にいる予定だから、今日からよろしくね」
「え?今日からなの!?」
「今日からなんですか!?」
「実は昨日の職員会議で僕が文芸部が"お悩み相談"もするから文芸部を復活させてくれって言ったら、悩んでいる人を紹介されたんだ。さあ、早く行かないと帰っちゃうかもよ」
☆
「じゃあ二人とも、早く行ってあげてね。僕もあとで様子を見に行くから」
そう言うと栄輔伯父さんは校長室の扉を閉ざした。
俺と矢島は栄輔伯父さんに校長室から追い出された。"物理的"に追い出された。
「校長先生って力強いんだね」
「多分、俺が知ってる人の中で一番力強い」
昔、親戚で集まった時に小学生二人、中学生二人の計四人で腕相撲を挑んだが、速攻倒されてしまった。
「それより、図書室の場所知ってる?」
「私も知らないから一緒に探しながら行こうか」
明日は校内探検という小学生がやるような行事があるがその時に図書室の場所を教えてくれるらしいが今日ではないので意味がない。
☆
矢島と五分ほど歩いていると、正面から永岡さんが歩いてきた。永岡さんとすれ違おうとした時、
「あ、あの、矢島さん。と、図書室の場所って知ってますか?」
「永岡さんも図書室の場所知りたいの?実は私たちも図書室の場所探してるんだ。だから一緒に探さない?」
「あ、西谷君もいたんだ。二人がいいって言うならよ、よろしく頼むぜ!」
"よろしく頼むぜ!"ってそんなの少年マンガくらいでしか聞いたことないぞ。
あと俺って影薄いのかな?
「あ、ああ、よろしくね永岡さん」
☆
永岡さんが加わり、三人パーティーとなったが、未だに図書室は見つからない。
第一高校は敷地面積が広く、大きな校舎と二つの体育館、食堂、グラウンドとたくさんの施設がある。
その大きな校舎の中にたった一つの図書館なので、すぐに見つからないわけだ。
「なんで永岡さんは図書室を探してるの?」
「実は人と会う約束をしていて、待ち合わせ場所が図書室の近くだから、だ、だぜ!」
"だぜ!"ってなんだよ"だぜ!"って。さっきからおかしくないか?
「や、矢島さんたちはなんで図書室を探してるんですか?」
「永岡さんに似たような感じかな。私たちも待ち合わせしてるんだ」
矢島と永岡さんが話をしながら三人で歩いていると目の前に図書室と書かれた看板が見えた。
その奥には図書準備室と書かれた看板があった。
図書室の前まで来て、矢島が永岡さんに別れの挨拶をした。
「永岡さん、また明日ね。私たち準備室の方で待ち合わせしてたから」
「わ、私も準備室で待ち合わせをし、してるぜ!」
だからなんなんだよ"してるぜ!"って。してます、でいいじゃん。
「そっか、じゃあ一緒に行こうか」
図書準備室の前まできた俺たち三人は、俺が代表として四回ノックした。
「どうぞ。早く入ってきて」
すると中から栄輔おじさんの声が聞こえてきた。あとで行くと言っていたが俺たちよりも早いとは思っていなかった。そんなことなら最初から案内してもらえばよかった。
「「「失礼します」」」
「遅いよ二人とも。僕の方が早いだなんて思ってなかったよ。それと、横にいる君は永岡さんかな?」
俺と矢島はこの発言に違和感を覚えた。
"なんで永岡さんのことを知ってるの?"
「それで相談者はどこにいるの?もしかして栄輔伯父さん?」
図書準備室は部屋の周りに本棚がいくつかあり、中央に長机とパイプ椅子があるだけの部屋だ。この部屋の中には俺たち三人以外には栄輔伯父さんしかいない。
「どこって、宏樹の横にいるじゃないか」
俺の横には矢島と永岡さんがいる。ということは一人しかいない。
「もしかして永岡さんが相談者?」
「もしかして西谷君と矢島さんが相談の''適任''ってことですか?」
ここで全てが繋がった。俺たちの探している"相談者"は永岡さんのことで、永岡さんの"待ち合わせをしている人"とは俺たちのことだと。
「その顔を見ると説明しなくても良さそうだね。じゃあ僕は出て行くから、後は若い人どうしでごゆっくり」
栄輔伯父さんは俺と永岡の間をすり抜けて、出て行った。
「ねえ宏樹、どういうこと?」
どうやら矢島はこの状況を理解できていないらしい。一方、永岡さんを見てみると驚いた様子なので理解できたらしい。
「つまりだな、俺たちの"初めての相談者"は永岡さんだ」
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