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私は文芸部に入りたい③

 翌日、私はいつもより少しだけ早く家を出ることにした。家の扉を開けると、左の家の隣には宏くんの家。朝なのでもちろん電気はついていない。


 昔は一緒にお互いの家で遊んでいたな、と感情に浸りながら私は学校に向かった。


 教室に入ると、まだ人はいなかった。このクラスでは私が一番早く投稿しているようだ。


 私は自分の席に着き、鞄から一冊の本を取り出した。その本はラブコメではなくミステリー小説だ。


 中学三年くらいからラブコメだけではなく、さまざまなジャンルの本を読み始めた。とはいえ、ラブコメ、その他、ラブコメ、その他の順で読んでいるので二回に一回はラブコメを読んでいる。


 読み始めて少ししたあと、教室の前の扉が開かれた。私は横目で誰が入ってきたのかを確認した。


 入ってきたのは金色に輝いた長い髪に、青色の綺麗な瞳を持った女子生徒だった。


 あんな生徒私のクラスにいたっけ?私はそう考えながらつい、本からその女子生徒に視線が移ってしまう。


 その女子生徒はそのまま教室の後方に歩いて行き、椅子に座った。


 どうやらこのクラスの生徒のようだ。だが昨日、こんな生徒がいた覚えはない。


 ふと目があい、私は本に目を落とした。


 その後、教室にはゾロゾロと生徒が入ってきた。私はもう一度その女子生徒の方を見ると、矢島さんと話している。


 するとその女子生徒は小さく手を振り始めた。視線を追うと、そこには中野くんと話している宏くんがいた。


 手を振っているのは宏くんか中野くんかはわからないが宏くんだとしたらモヤモヤする。


 その女子生徒は矢島さんと話すのをやめ、宏くんの席に近づいて行った。


 なにか宏くんと話しているようだ。後ろの方を見ていると、チャイムが鳴り先生が入ってきた。その女子生徒は宏くんの右側の席に座った。


 確かあの席の人は……永岡さんだっけ?金髪でギャルっぽかった。それにしても見た目が急に優等生だ感じになったし、目の色が青色になったのはなんでだろう?


 そんなことを考えていると授業は知らぬ間に終わっていた。


 今日は放課後に部活動紹介が体育館で行われる。この学校は部活動が強制なので、どこかしらの部に所属しなければならない。とはいえ、運動が出来なので入る部活は必然的に文化部となる。


「全国大会を目指して、日々努力しています!」


 ステージの上で話しているのはおそらくサッカー部の部長だろう。私には無縁の話だ。

「未経験者も歓迎しています!ご清聴ありがとうございました!」


 サッカー部の話が終わり、解散かと思うと、若月先生がステージに上がった。


「今年から文芸部が復活しましたー。ですが文芸部は''インキャ''の巣窟なのでお勧めはしませーん。文芸部に入るくらいなら、家に帰ってゲームでもしててくださーい」


 文芸部?そんな部活うちの高校にあったっけ?それにしても酷い言われようだ。インキャの巣窟だなんて言葉を使う人を初めて見た。


「それでは解散でーす。今日も気になる部活動の場所に行ってくださーい」


 若月先生がそういうと、生徒は立ち上がり、扉の方へと歩いている。一方私は若月先生の元へと向かった。


「若月先生、聞きたいことがあるのですが、お時間よろしいでしょうか?」


「三井さん、なんですか?」


 若月先生は私の名前を知っているようだ。まだ入学して三日目なのに知っているとは驚きだ。


「文芸部の見学に行きたいのですが、どこに行けば良いのかわからなくて」


「文芸部なら図書準備室に行けば良いですよ。それにしても文芸部に興味があるなんて変わってますねー。文芸部はおすすめしませんよ?」


 疑問形で勧めないと言われ、私は返答に困った。


「まだ何部に入るかは決めてないので、全部見ておこうと思って……。それでは失礼します」


 私はとっさに嘘をつき、足早にその場を去った。そういえば宏くんは何部に入るのだろう?テニス部?バスケ部?


 それとも文芸部だったり?まあそんなことありえないか……

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