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俺は部活動紹介を聞く

 永岡さんの悩みを聞いた翌朝、教室に入ると中が騒がしかった。


「なあ、創也何があったんだ?」


 俺は先に教室にいた創也に聞いた。


「見てみろよ、昨日まであんな可愛い子うちのクラスにいたか?」


 創也が指で示した方向を見ると矢島と話している金髪の女子がいた。


 綺麗な金色の髪は真っ直ぐと下に伸び、整った顔にある青い瞳。


 それだけで俺には誰かわかる。


 よく見てみると、制服は規則通り着ており、マニキュアはしていない。


 永岡さんは俺の視線に気づいたようで、俺に小さく、手を振ってきた。


「お、おい、今お前に振ったよな?どういう関係なんだ?」


「永岡さんだよ、永岡さん。俺の右の席の」


「え?昨日ナンパしてたあの永岡さん?それにしては見た目が変わりすぎだろ。目が青色だったら覚えてるし」


 創也はまだ永岡さんがカラーコンタクトをつけていたことを知らない。それを教えることもできるが、人の過去を他人に話すことは良くない。


「さあ。記憶喪失になって忘れてるだけじゃないの?」


「そんなわけあるか!」


「それ以上永岡さんについて話すと河原に嫌われるぞ」


「そ、そうだな……」


 創也は河原の名前を出すと大人しくなるというか、弱気になる。


「西谷君、おはよう」


「おはよう」


 永岡さんが近づきながら、挨拶をしてきた。近くで見ると、昨日との違いがはっきりとわかる。


 俺が挨拶を返した瞬間、チャイムが鳴った。


「皆さん先に座ってくださーい。朝のショートホームルームを始めますよー」


「連絡事項は今日の放課後に部活動紹介があるので体育館に集まってくださーい」


 部活動紹介とはその名の通り、部活動を紹介するのだが、もう文芸部と決まってるので聞く意味がない。


 ☆


 授業は四限で終わり五、六限は校内探検だった。それも終わり、放課後となった。


 今は体育館の中でサッカー部の話を聞いている。


「全国大会を目指して、日々努力しています!」


 ステージの上で話しているのはおそらくサッカー部の部長だろう。


 サッカー部の話が終われば今日は解散となり、部活動見学の時間になる。


「未経験者も歓迎しています!ご清聴ありがとうございました!」


 サッカー部の話が終わり、解散かと思うと、若月先生がステージに上がった。


「今年から文芸部が復活しましたー。ですが文芸部は''インキャ''の巣窟なのでお勧めはしませーん。文芸部に入るくらいなら、家に帰ってゲームでもしててくださーい」


 酷い言われようだ。だがこうでもしなければ誰かが入ってきてしまうだろう。これも栄輔伯父さんの策なのだろうか。


「それでは解散でーす。今日も気になる部活動の場所に行ってくださーい」


 解散となり、俺は矢島の元に向かった。矢島も俺に近づいてきている。


「取り敢えず、部室に行くか?」


「そうしようか」


 部室である図書準備室に行くこととなり、体育館の出口に向かった。


「それにしても酷い言い方だったよね。私ちょっとショックだよ」


「ああ言わないと誰か入ってくるかもしれないから仕方がないけど、あの言い方はないよなー」


 出口は一ヶ所しかないので、なかなか出れなかった。


「なんで出入口一個しか作らなかったんだろう」


「四つくらいあっても良いのにね」


 少し待つとようやく出れた。


「それじゃあ行きますかー」


「そうしますかー」


 変なノリで会話しているとあっという間に部室についた。俺と矢島は椅子に座り話を再開した。


「それにしても、これからどうする?」


「なにをどうするんだ?」


「なにをって、部活の時間だよ!」


「あ、考えてなかった……」


 文芸部という名目でお悩み相談をしているが、相談者がいないとただの文芸部だ。俺も矢島も特別本が好きというわけではないのですることがない。


「それじゃあ帰るか?」


「それはダメでしょ」


「じゃあどうする?」


「っ、それは……あ!」


 矢島は急に声を大きくしたので、驚いた。


「どうしたんだ急に?」


「私に勉強教えてよ!その分宏樹も賢くなるから一石二鳥じゃん」


「え?普通に嫌だけど」


 俺は特別勉強ができるわけではない。人に教えるのなんてできない。


 矢島は拗ねたせいか、顔を赤くしている。


「私に勉強教えるのが嫌なの……?」


 矢島は目をうるうるさせながら上目遣いで、俺の顔を見てくる。


「わ、わかったよ。教えれば良いんだろ……」


「やったー!ありがとー」


 矢島は椅子から立ち上がり、両手を上にあげて走り回っている。


 矢島が走り回っている最中、文芸部部室の扉が叩かれる音が鳴った。

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