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98話 今出来ること

よろしくお願いします!

 




 聖樹教会は、魔物の死骸と騎士団の人達の遺体があちこちに横たわっていた。

 ここを守護していた竜王国の戦士達の死体も一緒に。



「……ここも酷いな……」


 

 炎上こそしていないが、あの美しく巨大な砦も、初めて観た時あまりの素晴らしさに感動した聖堂も、破壊されていて見る影もない。



「シズクは……ユグドラシルの前にいるな。シャトヤーンさんと一緒か」



 講堂の奥から二人の魔力を感じる。



「あ、お兄ちゃ~ん!」



 声の方向を振り向くと、アルフィンとナエが一緒にこちらに歩いて来ていた。


 二人は俺の所まで来ると崩壊した聖堂を見てショックをうけていた。



「……シズクからも、怪我人も多数いると聞いていましたが、これは酷い状態ですね……犠牲者もこんなに……」



「……リューちゃんのお仲間も、いっぱい倒れてるの……」



「……アルフィン。街の方は大丈夫?」



「はい。……街中の魔物は掃討し、民も避難させています。レスターと近衛隊と警備隊で連携して残りを進めてもらっています。

 シーゲル陛下からも、もうまもなくトランスヴァールに到着出来ると、ご連絡も頂きました」



「かなり急いで向かってくれているんだね。普通なら、もっとかかるだろうに」



「陛下は勘の良い方なので、もしかしたら何か兆候を掴んでいたのかもしれません。クリスタのご助力があれば、この状況の建て直しもスムーズにいくでしょう」



 あの人は、頭もキレる人だし戦いが激化しているこの状況だから、普段から様々な準備をしていたのかもな。



「お兄ちゃん。さっき凄く怖い魔力が飛んでいったの」



「……あれは、ハーディーンの一部だ。ルーデウスの方角に飛んでいったから、暗黒大陸で完全に復活するつもりなんだろう。バラガン公国の状況も気になっていたし、ハーディーンの件も伝えたくて、さっきここに来る前にアーロンさんに連絡を取った」



「バラガン公国は、大丈夫でしたか?」



「ああ。クラウドさんと、ラカンさん、それにバハムートで、デスタを倒したらしい。街も被害は出たけど、ヨーク公の指示のもと、魔物も殲滅して落ち着いているみたいだ」



「それは、良かったです。ヨーク公も御無事で」



 アルフィンがホッと安堵の息を吐く。



「念話カードを使って、各国にハーディーンの復活も伝えてもらっている。こうなってしまった以上、ハーディーンがいつ動き出すか分からない。だから最終決戦の為に準備を進めるってことで、意見は一致したよ」



「……ハーディーンの件は、申し訳ありません。わたくしのせいです」



「いや。さっきも言ったけど、俺が気づかなかったからだよ」



「お兄ちゃん達、自分を責めてもしかたないの。今は動くの」



 ナエに窘められてしまった。

 しっかりしないと駄目だな。

 気持ちを切り替えよう。



「ふぅ……そうだなナエの言うとおりだ。奥側からシズクと、シャトヤーンさんの魔力反応がするから中に入ろう」



「はい」



「うん」



 ボロボロに破壊された、砦の入口から中に入る。

 聖堂の奥に向かうにつれて、被害の度合いは増していく。

 アルフィンの治癒魔法で助けられた人もいたが、それよりも手遅れの人の方が多かった。


 動ける様になった人にも、再興を手伝ってもらいながら講堂の奥へと向かうと、シズクとシャトヤーンさんがユグドラシルに触れ調整を行っていた。



「シズク。シャトヤーンさん」



「あ、来てくれたんですね。ありがとうございます」



「タクト様。アルフィン様も、お久しぶりです」



 シャトヤーンさんが俺達を見て微笑んだ。

 見た感じ怪我とかは、無いみたいだな。

 良かった。



「シャトヤーンさん。ユグドラシルは?」



「はい。今は――――」



 情報共有をして状況の確認をする。




 シズクのお陰で無事だったけど、結構危ない状況だったんだな

 良かった。



「そうでしたか。では、今はユグドラシルを」



「ええ。ユグドラシルの再起動を行っていました。ただ、また機能するまでは、一日はかかってしまいます」



 一日も……。

 まずい状況だ。ハーディーンもいつここに来るか分からない。

 どちらにしろ、やれる事は早くしておかないといけないな。



「タクトさん。ハーディーンは、復活したのですよね?



「復活した。ユーリとも話したけど、石碑から力を解放しても、完全に復活するまでは、数日はかかるみたいだ。それまでに、暗黒大陸に乗り込める準備をしておかないと。アーロンさんともさっき連絡を取って――――……何だ……」



 北大陸の先から……。

 ルーデウス帝国よりも、先の方からここまで感じる程の、巨大な邪悪の塊が動き出す気配がした。



「タクトさん? どうされました?」



「…………」



 ……やっぱり。間違いない。

 ここに向かって来ている。

 クソッ……早すぎる!



「お兄ちゃん。どうしたの?」



「……北大陸の先から、ハーディーンが動きだした。……ここに向かって来ている」



「……そんな」



「……ですが、復活するまでまだ数日はかかる筈では」



「多分だけど、完全復活してなくても俺達を殺せると踏んだか……ユグドラシルを今の内に破壊しようとしたか。でもいずれにしても、ここもタダではすまない。それに、ハーディーンが通ってくる途中にあるものも狙われるだろう」



「シズク、急ぎましょう。今はわたし達にしか出来ない事を優先しましょう」



「は、はい」



「……タクトさん」



「ああ。俺達はハーディーンを迎え撃つ」




お読み頂きありがとうございました

(*- -)(*_ _)ペコリ

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